市民活動との連携
平成23年3月11日の巨大地震、4月7日の余震と、震度6弱の揺れを2度観測した岩手県一関市は、家屋をはじめ農業、工業、商業、社会資本などに被害を受けるとともに、大津波の甚大な被害を受けた陸前高田市や宮城県気仙沼市に隣接しています。市は市民と一体となり、一日も早い市民生活の復旧に取り組むとともに、古くから交流の歴史があり最も近隣の沿岸地域の復興に向けた後方支援を平泉町や藤沢町と連携し継続してきました。市民生活の復旧と沿岸地域の後方支援の併行した推進という目標のもと、各々出来る限り努力することを提唱する市の姿勢に市民の多くが共感していると思われます(勝部修(一関市長)「市民の皆様へ(平成23年4月11日)」一関市ホームページ参照。『広報いちのせき』(135号、平成23年5月1日)にも掲載。藤沢町は9月26日に一関市と合併)。
こうした状況において、平素より地域づくりの活動を通じて交流してきた、いちのせき市民活動センター(小野仁志センター長)より、定期的にボランティアに訪れている陸前高田市の避難所が野菜不足に陥っているとの情報をツイッターによって得ました。そこで一関市花泉町の地域おこし団体・老松活性化同志会(小野寺登会長)と同会事務局が置かれている御嶽山御嶽神明社(佐藤教昭宮司)が共同で、4月25日より週に2回、段ボール数箱の野菜を同センターに委託して陸前高田の避難所に配達する活動を始めました。沿岸地域の困窮とは全く比較にならないが、岩手内陸においても巨大地震直後には生鮮食品を得難い日々が続き、野菜は近隣において率先して提供すべき重要な支援物資と確信するに十分な経験でした。
5月下旬より避難所から仮設住宅へ移住が始まり、現地の様相が少しずつ好転し、6月からはボランティア訪問が週1回になりましたが、現地で恒常的に不足している物資でもあり、喜んでお受けいただいた様子でした。
なお、老松活性化同志会と御嶽神明社がいちのせき市民活動センターに野菜をお届けした日は次の通りです。
- 4月25日(月)、27日(水)
- 5月9日(月)、11日(水)、16日(月)、18日(水)、23日(月)、25日(水)、30日(月)
- 6月6日(月)、13日(月)、20日(月)、27日(月)
- 7月5日(火)、12日(火)、19日(火)
- 8月2日(火)、23日(火)、30日(火)
- 9月6日(火)
9月12日(月)、いちのせき市民活動センターより停止依頼のメールがあり、ひとまずこの活動を休止しました。
老松活性化同志会は花泉町老松地区民有志によって昭和63年(1988)1月に設立、「顕彰しよう郷土の偉人、後世に残そう文化遺産」というスローガンを掲げ、同地区ゆかりの和算家・千葉胤秀の旧宅保存や義民・千葉惣左エ門の生家保存、近年は一関市地域おこし事業補助金の採択を得て「老松ふるさと学校」「花と泉のふるさとフォーラム」「花と泉のふるさと親子教室」などの地元学の事業を展開し、平成21年度には一関市民憲章表彰を受けています。今回の取り組みは、こうした平素からの市民活動(NPO活動)の交流・連携の延長で行われたものです。