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司法書士田中康雅事務所(川崎市麻生区新百合ヶ丘稲城市の相続手続登記相談)

相続対策と生命保険③

2019.02.25 06:55


相続対策と生命保険②はこちら


さらに遺言の場合、

法定相続人(兄弟姉妹相続の場合を除く)には、

遺留分があります。

遺留分とは、一定の範囲の法定相続人に認められる、最低限の遺産取得分です。


一方

生命保険(死亡保険)は、受取人固有の財産であり、相続財産ではなく、特別受益も原則として否定。

したがって、原則遺留分侵害請求されません。


ここで大事なのは、あくまで原則です。


当然例外があります。

保険金額の遺産の総額に対する比率のほか、同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して、 保険金を受け取った相続人とそれ以外の相続人との間に著しい不公平が生じている等特別な事情がある場合には、遺留分侵害請求の対象となります。



生命保険って相続財産じゃないから、原則遺留分侵害請求されないけど、保険金受取人が相続人の場合で他の相続人と比較して受取額含めあまりのも不公平な場合は外的に遺留分侵害請求されますよ。ってことですかね。


「お兄さん。そんな多くもらってすごくくごーくズルい。ズルすぎる。あんまりだ」

っていうイメージか。


 特別の事情あり、遺留分減殺請求が認められてしまった事例をみておきましょう。

 ・保険金額が約1億で遺産総額に匹敵かつ扶養・介護していたか明確ではない。

 ・受取人は相続人であるが婚姻期間3年5か月で、保険金の遺産比率61%


 特別の事情が認められなかった事例

 ・保険金は遺産総額の6%程度で、入通院の世話をしていた。


上記のように個別具体的に判断しなければいけないですし、

遺産の何割までだったら大丈夫という明確な基準がありません。

したがって、

生命保険が原則遺留分侵害請求の対象とならないからといって

万能ではないことは注意しておきましおう。


逆にそれさえ押さえておけば、生命保険は原則遺留分を排除した遺言機能があるため、

相続対策に充分成り得ることがお分かりいただけたんではないでしょうか。



 たとえば、 

数年前父が亡くなり母がすべて相続 

2次相続で被相続人母に相続人は子供AB2人 

母親の遺産 

現金  2200万円、 

不動産 3000万円 

遺産合計5200万円 

この場合の相続分は 

  子供A 2600万円   子供B 2600万円


 

母が相続した際、現金1000万円を 一時払い終身保険金1000万円(受取人子供A)に入っていたらどうなっていたか。なお、子Aは母親の近くの持家に住んでおり介護をしていたが、子Bと母親とは数年音信不通

母親の遺産

  現金  1200万円

 不動産 3000万円 

 遺産合計4200万円(生命保険1000万円は子A固有の財産)

この場合の相続分

  子供A 2100万円   子供B 2100万円

実際の手取額

  子供A 3100万円   子供B 2100万円

(内生命保険1000万円)

生命保険金1000万円は遺産の約20%で、受取人である相続人子供Aは母親の介護を行っており、Aが生命保険金1000万円を受け取ったとしても相続人間で不公平は生じないと桃割れます。



めでたし、めでたし、


でも実際2100万円をどのようにBに渡したらよいのだろう?

不動産を売却して換金するしかないのか? 共有になるのか?


相続対策と生命保険④につづく