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WUNDERKAMMER

ショートショート 431~440

2019.03.11 12:00

431.君とは毎日一緒に旅に出ているね。冬国から南国から、過去未来に異世界に、魔法使いの国にも行ったね。泣いたり笑ったり、少しづつ端の解れた君と共に私の心にも旅の情景が刻まれる。ありがとう、この旅が終わったら次はどの本へ旅に出ようか。私は平たい友人を挟み、本を閉じた。

・・・

432.お化け屋敷から覗いたのは、ピカソの書いた人体模型の様な馬鹿げたマネキンだった。それは一瞬だけ幕の下から覗き引っ込んだ。学園祭らしいと思いながら中へ入ると先程の様な人形はおらず全て人間であった。

「人体模型はいないの?」と出た後に受付へ聞くと「流石に借りれないよ」と答えた。

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433.僕の括った桜の木の下で君は泣いていたね。垂れる僕と伏せる君と真ん中の僕。怖ける程に紅い桜だった。それから一人ずっとそこで目紛しく変わる町を見てきた。

そしてある春、すっかり顔も格好も違う君が通ったので僕は思わず君の髪を掴んだのだ

振り返った君はあの時と同じ顔で、桜を見上げた。

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434.君の命日には朝ご飯を食べない。空っぽの方が君が近い気がするからだ。石を眺め、パピコを食べながら帰路へ着く。そして翌日空腹に痛む腹で起き、「もしかしたら君がでるかしらん」と思いながらいつも通り空っぽの卵を割るのだ。今年もパピコの半分が冷蔵庫に溜まっている。

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435.その巨大な沼の水を抜いた時、最初に出てきたのは起立した自転車だった。

意外にも汚れていないそれを越し、沼の底が現れるとそこにはテーブルやソファーなどの家具一式が丁度リビングの様に配置された異様な一角があり、また沼底一面に自転車のものであろう車輪の跡が何本も引かれていた。

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436.この世という概念が数式であり、更に私と9う数式はその膨大な数式の極小さな1つに過ぎんと、そ3確実に知ってし8てか6その(数式は2私)と8個を飽和3だ1。そ08.私のこの×膚も5臓67【思想8】−何50かも/が0057なの6形を保2方が÷跡だ。√嗚3諦1し87631指先か3視06から.思想か90体が数456の線とな07解け0!

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437.ぬいぐるみを取り合っていると、母はそれを掴み袋を開ける様に引き裂いた。その途端ぬいぐるみは同じ二つに分裂し、母はそれに色の違うリボンをつけて渡してくれた。

「なんで私達は双子なの?」母に聞いたことがある。

「とても可愛かったからよ」そう言って母は私達に色の違うリボンを結った。

・・・

438.深夜「人が落ちた」というナースコールがあったので窓の下を見たのだが、そこには何もなかった。

「という事が昨日あったんですよ」そんな話をしていると、「私の階の患者さんも同じことを言った」という人が各階毎に現れた

部屋は真直ぐに同じ号室

しかしその真新しい病院で投身自殺の噂は無い。

・・・

439.その遺体は事故により背中が裂けていた。解剖を望まれた為傷口を調べていくと皮膚の裏に何か模様がある事に気が付いた。剥ぐと背中全面に札のような模様がある。傷はそれを真ん中で裂いていた。

それを家族へ伝えると頭を下げ去っていった。ただ、去り際に呟いた「成功」が何の事かはわからない

・・・

440.君の頸髄に花を一輪生ける。

あぁ確かに君の生前はこの花のように可愛らしかった。似ている、似ている、でも何か違うのだ。

どの花も君の代わりにはなれない。手元に残った白く清貧な背骨肋骨骨盤の完璧さ。君は赤く青く白く大きく小さく可憐に美しくて、

嗚呼、

君はどうして死んでしまったのだ!!