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相続法改正その1(配偶者居住権とは)

2019.02.26 05:16

配偶者居住権の新設(2020年4月から施行)

1 配偶者短期居住権

 ア 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合の規律

    配偶者は,相続開始の時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合には,
  ①「遺産分割によりその建物の帰属が確定するまでの間」又は②「相続開始の時から6
  か月を経過する日」のいずれか遅い日までの間,引き続き無償でその建物を使用するこ
   とができる。

  イ  遺贈などにより配偶者以外の第三者が居住建物の所有権を取得した場合や,配偶者が
   相続放棄をした場合などア以外の場合

    配偶者は,相続開始の時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合には,居
   住建物の所有権を取得した者は,いつでも配偶者に対し配偶者短期居住権の消滅の申
   入れをすることができるが,配偶者はその申入れを受けた日から6か月を経過するま
   での間,引き続き無償でその建物を使用することができる。

2 配偶者居住権(長期)

  配偶者が相続開始時に居住していた被相続人の所有建物を対象として,終身又は一定期
 間,配偶者にその使用又は収益を認めることを内容とする法定の権利を新設し,遺産分割
 における選択肢の一つとして,配偶者に配偶者居住権を取得させることができることとす
 るほか,被相続人が遺贈等によって配偶者に配偶者居住権を取得させる ことができること
 にする。

3 施行法及び施行日

  平成30年7月6日,民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律
 第72号)

  2019年(平成31年ー元号が変わる予定)7月1日から施行

4 解説

  要件的留意事項

  ・あくまで建物についての権利、敷地についてのものではない点

  ・被相続人が所有する建物であること

  ・相続開始時に当該建物に配偶者が居住していること

  ・被相続人との同居は特に要件ではないこと

  ・取得原因 遺産分割、遺贈、審判のいずれか(相続させる旨の遺言は不可とされる
   が、実質的には同じ効果)

 (1) 上記各権利の取得には、遺産分割あるいは遺言による必要がある。

 ア 短期の場合

 1)遺言がない場合

   遺産分割により居住建物の帰属が確定した日

または

   相続開始から6か月

のいずれか遅い方の日までの間、配偶者が居住建物に無性で住み続けることができる

 2)遺言がある場合

   建物取得者が配偶者に短期居住権の消滅の申入れをしてから6か月

 イ 配偶者居住権(長期)の場合

   存続期間は、通常は生存配偶者の終身の間

   ただし、遺産分割協議や遺言などで別途定めることは可能

   配偶者居住権は登記をすることが可能(対抗要件は建物についての登記)

   配偶者は通常の必要費(固定資産税等)を負担する

 (2) 相続分としての評価

 ア 短期の場合    相続分としてはカウントされない

 イ 長期の場合    相続分として評価方法が問題となる(別途研究が必要)

            一身専属的権利ゆえ原則譲渡不可(但し買取可能性あり)