10月句会
石原とつき
① あぶらうりあればテルミン
② ままごとで手羽先でよみがえる
③ もののあわれはかえすがえすもマッコウクジラ
④ 「南極びいきね」「いい脇役減ったな」(⋯)「そうだ!」「そうか?」(暗転)
きゃさりん
⑤ 添い寝して詩集にふれたうすい紅
⑥ 彼が踏む路上の落ち葉秋音色
⑦ 無駄観したシネマの記憶閉じて雨
⑧ またおいで雑貨店主に借りた傘
草の耳彦
⑨ 幸いツライと読み間違える
⑩ 思い浮かばれないあの人は睡る
⑪ 瞼越し点滅するは木漏れ日の
⑫ 幸子さんと書いたつもりの辛子さん
平林吉明
⑬ 普通に苦痛に紛れもない事実
⑭ ニオイバンマツリ人間関係ピタゴラス
⑮ 誰も居ない協同組合シュレッダー
⑯ 契約書規約議事録返済計画理事長印
うたたね凛
⑰ 忘れられた神社にフクロウいる
⑱ わたしが診ますブチョー医師すまなさそうに
⑲ やっと放たれた腕秋つかむ
⑳ あの土手の向こう希望描いている
叶裕
㉑ 空気圧足らんかったね青蜜柑
㉒ ハーレーで葡萄届けに来るとはな
㉓ 秋桜明るい方へなびいてら
㉔ 人倫に背いた窓に鳳仙花
山口牧子
㉕ パソコンの遠隔操作木の実落つ
㉖ 青蜜柑よりそいすぎるチャット彼
㉗ 骨盤を両手に乗せる星月夜
㉘ 暇なしの自動改札秋澄めり
田中耕司
㉙ 花を見られなかったフジのいつもよりずっと濃いみどり
㉚ 解体される家の大きなキンモクセイも伐られてしまうのかな
㉛ ぐるっと家のまわりをアサガオのアカムラサキがかこっている
㉜ 十月もまだ暑く青のサルビアが揺れている平和って言っとこ
大川崇譜
㉝ 弱火で始まる秋がもう《ぐつぐつ》
㉞ 地下組織に留まる あの季節をさがしている
㉟ 児島のジーンズでこするつもりの柿のほっぺた
㊱ いつ枯れ葉になろうか髪染めを変える
若木はるか
㊲ 踊る人たち笑ってばかり
㊳ 秋さらさら乾いてく
㊴ 満席のバスのアナウンスため息混じり
㊵ 秋の傘でゆこう鞄に秋のハンカチ入れて
石川聡
㊶ 秋めいてひるがおうすぴんくもこつぶ
㊷ むかし居た路地裏からほのかな残糖
㊸ わたくしの深い森から鹿をよぶ
㊹ 関数が実ったラ・フランス