亜鉛
〈前置き〉
亜鉛は成人の体内に約2g含まれます。成人ではそのほとんどは筋肉と骨中に含まれますが、皮膚、肝臓、膵臓、前立腺などの多くの臓器に存在し、さまざまな酵素の構成要素となっています。
亜鉛不足の症状
亜鉛が不足すると、たんぱく質やDNAの合成がうまく行えなくなり、成長障害が起こります。また、亜鉛は味を感じる味蕾細胞の産生に必須であるため、亜鉛不足になると味を感じにくくなる味覚障害になる可能性があります。そのほかに、貧血、食欲不振、皮膚炎、生殖機能の低下、慢性下痢、脱毛、免疫力低下、低アルブミン血症、神経感覚障害、認知機能障害などのさまざまな症状が現れます。
普通に食事をしていても不足する亜鉛
植物性食品に多く含まれる食物繊維やフィチン酸(穀類、豆類に多い)などは、亜鉛の吸収を妨げます。また、加工食品に多く含まれる食品添加物が、亜鉛の吸収を阻害し、亜鉛欠乏になる場合もありますので、特定の食品に偏った食事をしないよう注意が必要です。近年、若い世代での、食生活の乱れによる亜鉛欠乏により、味覚障害を訴える人が増えてきています。そのほか、アルコールの摂取により、亜鉛の排出量が増加します。
亜鉛過剰の症状
サプリメントの不適切な利用などによる、亜鉛の過剰摂取により、銅の吸収阻害による銅欠乏からの貧血、吐き気、嘔吐腎障害、免疫障害、上腹部痛、消化管過敏症、HDLコレステロールの低下、低銅血症、下痢などのおそれがあります。
適切な摂取量
1日10mgの摂取が必要と言われていますが、ある程度の増減は大きな害にはなりません。
医学的には亜鉛不足の人には1日75-250mg摂取が推奨されています。しかし毎日摂取することよりも、たまにでも良いから不足分を補うというような心構えで摂取しましょう。
《総括》
偏った食事を取っている人は基本的には亜鉛の摂取は必要であると考えて良いでしょう。
体に適切に亜鉛があるかを把握するには血液検査をすることが必要となります。
現実的はすぐにできることがないので、自身の症状に合わせて摂取することが良いでしょう。最近性欲がなかったり、脱毛があったり、食欲がないという場合は亜鉛不足が原因と考えられます。取りすぎもよくないですが、一日必要量は摂取するように心がけましょう。
追加
特に、牡蠣に多いと言われる亜鉛。牡蠣をあまり好まない人は亜鉛の補充をしましょう。