日本箱庭療法学会参加記(2025年10月)
日本箱庭療法学会第38回大会に参加してきました。
本学会は全国各地で年次大会を開催することが多いのですが、今年は東京開催でした。しかも私の母校での開催でした。そういうこともあって、今年は参加だけでなく、がんばって研究発表もしてきました。
初日はシンポジウムを聞きに行きました。
まず、静岡大学の原瑠璃彦先生が基調講演をしてくださいました。
原先生は、ご専門は表象文化論ということになるのかと思いますが、『洲浜論』という著書で芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞されています。シンポジウムではその「洲浜」と箱庭療法との関連について議論がなされました。
洲浜というのは、端的には海辺の風景というほどの意味ですが、より具体的には、陸と海が接するくねくねした海辺の形状と、その形を台にした洲浜台というものの上にミニチュアで風景を表現する遊びを意味するものであったようです。ある意味で、洲浜とは海に接した日本の原風景を具象化したものと考えることもできるでしょう。
洲浜は、その形状が一つのイメージを提供するものであると同時に、その上に風景を置くという意味では、イメージを生み出す「場」でもあるという二重性をもっています。また、洲浜という現実でない想像の風景を見ながら和歌を詠むということがなされていたようで、風景を通した言語表現や他者との交流という点で大変興味深いものです。
洲浜という言葉自体が一般にはほとんど知られていなかったときにこれに注目して集中的に研究されたのはすごいことだと思います。洲浜は日本庭園とかそれを模した坪庭とか盆景とか、これまで庭の典型と考えられていたものが生まれる前から存在していたようで、たしかに箱庭の原型かもしれないと思わされました。
原先生は『日本庭園をめぐる』という本も書かれており、そちらはブログで紹介したこともあります。
二日目は、自身の研究発表でした。
今年は「ゾンビ映画にあらわれる現代の主体」というテーマで研究発表を行いました。
また何のことやらという感じで…。研究は、本人はいつも真面目なのですが、ふざけているとよく怒られます(笑)。何歳になっても新しいことにチャレンジしたいという気持ちがあるので、今回新しいテーマで発表できたということは自分にとってよかったと思います。意外にもたくさんの方が聞きに来て下さって、発表が終わった後も感想を伝えてくださる方がいらしたり。うれしかったです。
内容を説明しようとすると記事が混乱するので(笑)、また別の機会にでも。いつか論文として書ければと思っています。
驚いたことに、発表している建物で(学生さんのサークルかな)ちょうどゾンビ映画を放映していたようでした。その立て看板があったことを指定討論の先生に指摘され、「上田さんが仕込んだんちゃうかとー」(笑)
違うのですけど、でも「ゾンビ映画」が「きてる」ことは間違いないみたいです。
あと、偶然にも大学の時の同級生に会うことができました。
同じ関心を持ちながらこの仕事をしている同級生と、何十年かぶりに、それも母校で開かれた学会で会えるなんて、不思議で大変うれしいことでした。
終わった後は、同じく学会に参加していた大学院生や卒業生と一緒に飲みに行きました。結局、美味しいお酒を飲むために学会に参加しているようなところがないとは言えず・・・。
充実した二日間でした。