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雷霆を告げる音

純白

2019.02.28 13:33

- Another 1 ある男-


男はいつも陰に怯えながら生きていた。

あまりにも貧乏で、あまりにも今この瞬間だけを生きている。

陰は何があるか、何がいるのかわからない。

汚い道には黒ずんだ泥水、

ネズミがあちこち走り回り、人間を齧る。

衛生面は壊滅的でよくこの状況下で生きていられるか不思議なぐらいである。


その日を生きるために男は、

街の真ん中の今にも倒れて崩れ落ちてしまうんではないかというほどのビルの中に、

生きるための飯の種を拾いに入っていった。

中は暗く、隙間に太陽の光が溢れているのが点々とあり、それが道標ともなっていた。


その中にある、使えそうなものをせっせと拾い、売りに出すのが彼の仕事であり、生きるために仕方なくここに来るのが目的だ。


だがこんな掃き溜めの世界に、

それは今にも解けてしまいそうだった。

雪の様に白く、穢れがないのである。

ここにはその純白を保っていられる環境はない。

一度それに触れてしまえば、その白は、色がついてしまう。


何か?

このビルの5階に白く煌々と光、

唯一無二の球体がある。

床と天井から黒いカーボンの支えが無機質に伸び、球体を支えている。


男はこの純白の球体を”神“のように崇めていた。

この純白は、知らずと宗教的になり、

欲する者と守る者に分かれていたが、

彼は守る側の人間であった。


欲する者はハンターとなりこの球体を奪いにやってくるものは多かった。

これを手中に治れば世界の王になれると勝手に考えるものが跡を立たない。


男はこの状況下で純白を守るには?

一体どうしたらいいものかと考えるのだけども人生とは上手くいかない。

それは唐突に起きた、大きな衝撃に純白は、

弧を描くように飛び跳ね男のほうに向かってきた。

落としてはいけないと思い、ボールを掴むように純白をこの手に受けようとする。


だがこの男は純白が壊れまいようにと差し伸べた手に、

今にも触れてしまいそうになった瞬間。


絶望した。


この手で神を汚してしまうのか…


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- Another 2 汚れた街-


ここはとても汚い街だ。

ここを生きていくには、なりふり構っていられないほどここには幸せはない。


こんな危険で、汚く、治安も悪そうなところに何があるのか?

そこには壊れた電子機器、

車の部品、電池、そのようなほとんどゴミのようなものが山のように積まれていた。

ほとんどの電子機器類は中身が取られ、

価値はなかった。


でもこの街にも小さな希望みたいなものがあり、

それをみんなで守っていた。

純白に輝くその球体は、穢れを全く知らなかった。


だがその穢れなき純白を狙う賊も多く、

常にこの街は争いも絶えなかった。


純白を守る者もいるが、今回の賊は業が深く、自分自身がこの世界の神になるんだといつも画策し、それを今日実行したまでだった。

そして純白を破壊してでも強引に奪おうとしていた。


その戦いはなにも生まなかった、

純白の真実を知らず、人々は絶えず危険な状況だった。


そして爆発により純白が飛び跳ね、

弧を描くように男に向かって落下していく。


純白が落ちて割れてしまわないように、

地面に落ちて汚れてしまわないように。


男が手を伸ばす。


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- Another 3 真実-


これは煌々と輝き、まるで太陽かと思うほど、純白である。

これはこの星を動力とし、電力を生み出す装置である。


だが一度大きな戦争により、人類は多く消滅し僅かな生き残りでここ幾数百年過ごしてきたが、

今となれば破滅した世界の生き残りは何故電力が生まれているのか、

何故機械などが動いているのか分からなかった。


純白と崇め奉られた、

電力装置は人類のために働いていた。


光り輝くものを手中に収めさえすれば王になれると人々は考えた。

その中心がここであり、純白がある汚い街だ。


純白を神の賜物や神と崇めている人間たちは、この争いが人類の絶滅に繋がるとは思っていないのであろう。


白く煌々と輝く電力装置は、

爆発と共に今まさに装置から飛び跳ね、

それが壊れないようにと男が手を伸ばす。


ああ…、

それに触れてしまえば彼は死んでしまう。

強力な電流により。


そして球体が割れてしまえば人類も滅びてしまう。

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同じ空間の中での別表現の練習です。

更に加筆することがあれば、

進めていきます。