被相続人が相続人名義で預金していた場合どうなる?①
2025.12.26 07:30
●遺産分割との関係
かつては他人名義での口座開設が容易であったため、父親が子に無断で子名義の口座を開設し、預金をしておくような事態がしばしば見受けられました(名義預金)。
このように、家族名義の預金でも実質的に被相続人に帰属していたと評価できる場合があり、
その場合には当該預金は相続財産として遺産分割の対象となります。
したがって、名義人の認識や預金の管理状況、実際の預金者などを考慮しつつ、当該預金の実質的な預金者が誰であったかを相続人間で協議する必要があります。
名義預金の取扱いは以下3つの可能性があり、いずれの対処を採用するか、
相続人間で協議して決定することになります。
① 実質的に被相続人の預金と扱って遺産分割の対象とする
② 名義人の預金として扱い、遺産分割の対象とはしないが、特別受益として持戻しの対象とする
③ 名義人の預金として扱い、遺産分割の対象とせず、特別受益とも扱わない
●相続税課税との関係
相続税課税との関係でも、家族名義の預金が実質的に被相続人に帰属していたと評価できる場合には、相続財産として相続税課税の対象となります。
これは、相続人間の協議とは別個に国税庁の判断として行われるものであり、
たとえ相続人間で上記②や③の扱いとすることで合意したとしても、相続税の課税対象となる場合があります。