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デ・ラ・ソウル【F's GARDEN -Handle With Care- Vol.23】

2019.03.01 02:51

「DE LA SOUL/3 FEET HIGH&RISING」


先日、“今回のブログネタに何しようか?”と頭を悩ませる中、前から気になってた映画「ノーザン・ソウル」を観てきました。


イギリス北部の労働者階級の若者達が、週末、クラブで、アメリカのデトロイトやシカゴ産のレアなソウル・ミュージックを聴きながら、ダンスにすべてを捧げる内容を描いた興味深い作品だった。


映画『ノーザン・ソウル』


観ているうちに、何故か、80年代後半のクラブ・カルチャーに突き進んでいくあの頃を思い出している自分がいた。


そう、80年代後半のイギリスでは、ハッピー・マンデイズやストーン・ローゼズといったマンチェスターの音楽シーンを中心に、ダンス・ミュージックとロックを融合させたサウンドが人気を呼び、その後のクラブ・ムーブメントへの導火線に火をつけていた。


この辺りの時代背景を理解するには、映画「24 HOUR PARTY PEOPLE」 を観ることをオススメします。 


一方、アメリカでは、サウンドガーデンや、ニルヴァーナを筆頭とするオルタナティヴ/グランジ・ロックが台頭。


ブラック・ミュージック・シーンでは、テディ・ライリー、ボビー・ブラウン等による“ニュー・ジャック・スウィング”が大流行、ヒップホップもパブリック・エナミーやN.W.A等が牽引し、新しい時代を予感させた。


その後、多様化していく90年代の音楽の序章となったのは、80年代の後半の音楽シーンにあったということにあらためて気付かされた。

しかも、1989年(平成元年)にリリースされた重要な2作品が存在したことを忘れてはならない。 


まずは、UK ブリストル産のこの作品。 

■SOUL Ⅱ SOUL/CLUB CLASSICS VOL.1 

中心人物のジャジー・Bは、地元ブリストルで、後に、マッシヴ・アタックとも旧知の中であるネリー・フーパー等と、“サウンドシステム”を運営していたことで知られた。


「グラウンド・ビート」と呼ばれたシンプルながら、独特のハネるグルーヴは、またたくに、UKをはじめ音楽シーンの各方面に、大きなインパクトを与えた。


UKはもちろん、世界中で大ヒットした代表曲。 

■SOUL Ⅱ SOUL/KEEP ON MOVING


続くシングル「Back to Life (However Do You Want Me)」も、キャロン・ウィラー嬢の歌声が、印象的なナンバーで、UK/USチャート共に大ヒットを記録。

そして、デビュー・アルバム「Club Classics Vol. I」は、UKチャート1位を記録。商業的な成功はもちろん、Soul/Funk, House, HipHop, Ragae/Dub 、アフリカなど様々音楽を取り入れた音楽性が、広く支持された。


そして、最重要作品が、今回この特集で紹介するのが、この作品。 


■DE LA SOUL/3 FEET HIGH&RISING

WPCR-75483/84 ¥1,905+税

当時のヒップ・ホップ・シーンと言えは、東(N.Y)のパブリック・エネミー、西(L.A)のN.W.Aだった。

そんな硬派で、マッチョなパブリック・イメージを一新したのが、N.Yロング・アイランド出身で、オタク気質な3人組が“デ・ラ・ソウル”だった。


カラフルなジャケットが象徴するかのように、ポップでありながら、まるで、“子供のおもちゃ箱をひっくり返したかのような”、自由なアイデアに溢れたサウンドが詰まっている作品。


De La Soul - Me Myself And I

ジョージ・クリントン率いるファンカデリックの“Knee Deep”を大胆にサンプリングしたトラックに、飄々としたラップで大ヒットしたナンバー。マッチョな肉体&ゴールドチェーンをバカにしたかのようなPVが最高!



De La Soul - Eye Know (Official Music Video)

スティーリー・ダン“Peg”のギター・リフと、オーティス・レディング“Dock Of The Bay”の口笛を見事に料理したポップ・チューン。



De La Soul - Say No Go (Music Video)

まさかのホール&オーツの大ヒット曲“I Can’t Go For That”をファンキーなトラックに仕上げたダンス・チューン。


“The Magic Number”や“Buddy”等まだまだ佳曲揃いの作品だが、プロデューサーとして関わったステッツァソニックのプリンス・ポールの功績も大きい。


これまでの概念を凌駕したサンプリングの可能性を最大限に引き上げたサウンド・コラージュ的な手法や、ユーモア溢れたスキットを曲間に多数入れ込んだ構成によって、ヒップ・ホップ史上に残るコンセプト作品を完成させた。


その後の、A Tribe Called Quest、Jungle Brothers等ネイティブ・タン一派の成功や、その後のニュー・スクール・ムーヴメントに大きな影響を与えたと言う意味でも、デ・ラ・ソウルの登場が与えたインパクトは、とてつもなく大きかった。


平成が終わりに近づいている…この30年は、どんな時代だったのかな?って考えた中で、やはり、その後の音楽シーンに影響を与えた作品をチョイスしようと思い、厳選したら、偶然なのか?必然なのか?リリースされた年を調べたら、1989年が平成元年だったという音楽の摩訶不思議さに、あらためて驚かされたのでした♬



SOULBROTHER NO.2

某チェーンの音楽屋店長。無類のブラック・ミュージック好き。 

音楽の伝導師を目指して日々、修業中。 

アジア・カップの総括も終わってしまい・・・次はコパ・アメリカが楽しみ⚽