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【流 通】九州大学などの研究グループ 植物の栄養環境応答の新しいしくみを発見

2025.11.13 00:40

植物は土壌中の窒素濃度に応じて根の構造を大きく変化させる。窒素が豊富な環境では「窒素が十分に存在する」と判断し、不要なエネルギー消費を避けるために根の生長を抑制することが知られていたが、その詳細なメカニズムはこれまでわかっていなかった。

今回、九州大学の研究グループ(※1)は、神戸大学ほかの研究グループ(※2)との共同研究により、モデル植物のシロイヌナズナ(※3)を用いて、高窒素環境で根の生長抑制に働くペプチドLOHN1と、LOHN1が関わるこれまで未解明の高窒素情報シグナル伝達のしくみを明らかにした。

LOHN1遺伝子の発現を改変した植物を解析した結果、植物が高窒素環境に置かれると窒素代謝が促進され、その結果アミノ酸の一種であるグルタミン酸が地上部から篩管を通じて根の先端部へと運ばれ、そこでLOHN1遺伝子の発現を誘導することが分かった。さらに発現したLOHN1ペプチドは篩管細胞から根の表層に移動し、側根(※2)の密度を抑制制御することが明らかになった。

この研究で得られた知見は、他の多くの植物種にも応用可能であり、作物の窒素利用効率の向上や、施肥に対応して根の生長を人為的に制御することが可能になることが期待される。


※1 九州大学の研究グループ

大学院理学研究院の楠見健介講師、伊藤和洋大学院生(研究当時)、園田智也大学院生らの研究グループ

※2 神戸大学ほかの研究グループ

神戸大学大学院理学研究科の深城英弘教授、九州工業大学大学院情報工学研究院の花田耕介教授、中部大学応用生物学部の鈴木孝征教授、熊本大学大学院先端科学研究部の檜垣匠 教授らの研究グループ

※3 シロイヌナズナ

アブラナ科に属する小型の一年生植物。学名はArabidopsis thaliana。2000年に全ゲノム配列が解読された。世代交代が早い、小型で栽培が容易、ゲノムサイズが小さく遺伝解析がやりやすい、遺伝子操作が容易などの理由から、モデル植物として幅広く植物研究の材料として利用されている


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