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建築工房「akitsu・秋津」

土地の価値を最大化する設計。

2025.12.16 19:00

家の価値は「外回り」で大きく変わる

マイホーム計画、順調に進んでいますか。毎週の打ち合わせ、膨らむ見積もり、決めることの連続で、少しお疲れかもしれません。「建物本体や内装で予算がいっぱい」「庭や駐車場まで考える余裕がない」

もし今そう感じていても、それはとても自然なことです。多くの家づくりの先輩たちも、真剣であればあるほど同じ悩みにぶつかってきました。だからこそ、「庭や駐車場は建物が完成してから、お金が貯まったら考えよう」と思う気持ちもよく分かります。

ただ、家づくりに関わる者として、ひとつだけお伝えしたいことがあります。「あとでゆっくり」が、思わぬ負担や後悔につながることがあるという点です。ここでお話ししたいのは、「今すぐ立派な庭を作るべき」ということではありません。後から困らないために、最低限の“計画”だけは先に考えておくと安心ですよ、ということです。

この記事では、なぜ「建物の設計図」だけでなく「土地の設計図(外回りの計画)」も大切なのか。そして、予算を抑えながら将来の選択肢を残す方法をお伝えします。

 

1|住み心地は配置と配管

家づくり終盤の予算調整は、本当に精神をすり減らします。そんな時、外回りを「飾りだから後回しでいい」と考えたくなるのは自然なことです。しかし、庭や駐車場は暮らしを支える“生活の土台”でもあります。雨の日に濡れずに玄関へ行けるか、泥だらけの靴を洗う場所があるか、将来EVを使うときに充電設備を置けるか。こうした日常の快適さは、外回りの計画で大きく変わります。

特に大事なのが、地面の下を通る“水道や電気のパイプ”です。住み始めてから「駐車スペースに水道や充電器が欲しい」と思っても、後から壁やコンクリートを壊す必要があり、費用も手間も大きく増えてしまいます。仕上げの工事は後回しでも構いません。ただし、見えない部分の準備だけは最初にしておくと、後々の負担がぐっと軽くなります。

 

2|後回しが高くつく理由

「お金が貯まってからゆっくりやろう」。その考え方はとても堅実です。ただ、今のように物の値段が上がりやすい時代では、全体の計画がない“後回し”が結果的に不利になることもあります。資材や人件費が上がれば、数年後には同じ金額でできる工事の範囲が狭くなってしまうからです。

また、全体像を決めずに「とりあえず前面をコンクリートにする」といった工事をしてしまうと、数年後に「木を植えたい」「フェンスを立てたい」と思った時、値上がりした工事費に加えて、コンクリートを壊す費用まで発生します。これは避けたい無駄な出費です。

土地全体の計画図を先に作っておけば、工事は予算に合わせて段階的に進められますし、必要な場所を土のまま残しておくこともできます。また、外回りの工事費を住宅ローンにまとめる方法もありますが、これは人によって向き不向きがあります。金利や返済計画を踏まえ、無理のない範囲で検討するのが安心です。

 

3|庭で決まる省エネ効果

高性能な断熱材や窓を選んだあなたなら、「夏涼しく、冬暖かい家」にしたいという思いも強いはずです。実は、その性能をしっかり活かせるかどうかは、窓の外の環境にも左右されます。真夏、南や西の窓の外が一面コンクリートだと、熱が跳ね返って室内に入り込み、家全体が暑くなってしまいます。

これを防ぐために、窓の前だけ照り返しの少ない素材にする、将来「日よけ」を付けられるように外壁に金具を準備しておく、冬に葉が落ちる木を植えるスペースを確保する。こうした小さな工夫だけで、エアコンの効きが変わり、省エネにもつながります。家の断熱性能を無駄にしないためにも、外の環境を味方につける計画が役立ちます。

 

4|家を長持ちさせる設計

外回りの計画は、暮らしやすさだけでなく、家そのものの寿命にも関わります。特に大事なのが“雨水をどう流すか”という部分です。地面に適切な傾きや排水の仕組みがないと、雨水が基礎のまわりに溜まり、湿気でコンクリートを傷めたり、シロアリが好む環境を作ってしまいます。

また、最初から通路や植栽が計画された家は、年月が経つほど「古びた家」ではなく「きれいに育つ家」になっていきます。それは家の価値を長く保つことにもつながり、何より家への愛着を深めてくれます。庭や駐車場は、家族を守る家そのものを長く健康に保つための“ガード役”でもあります。

 

5|ふんわりした想いでOK

ここまで読んで、「大事なのは分かったけれど、詳細を決める余裕も予算もイメージも湧かない……」と思われたかもしれません。安心してください。今、完璧に決める必要も、今すべてのお金を払う必要もありません。大切なのは、“将来どう暮らしたいか”という大まかな方向だけ決めておくことです。

「家」と「庭」がそろって、はじめて暮らしの風景が完成します。だからこそ、最初の相談の段階で、こう伝えてみてください。週末は友人を呼んでBBQがしたい。いつか子供と一緒に花を育てたい。将来、電気自動車に乗るかもしれない。そんな“ふんわりした想い”で十分です。

その想いがあれば、「ここは将来のために土のまま残しておこう」「配管だけは先に通しておこう」といった、無駄なく未来につながる計画が立てやすくなります。家づくりの疲れや予算の悩みを、一人で抱え込む必要はありません。少し先の暮らしを思い描きながら、無理のないペースで進めていきましょう。