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2本の線が違う長さに見える「ミュラーリヤー錯視」とは

2025.11.17 05:21

錯視とは、視覚系によって引き起こされる錯覚の一種。

目で見ているものと、それが実際に感じられるもの(形、長さ、明るさ、色など)が異なって知覚される現象です。

心理学では、様々な錯視に関する研究がされてきましたが、その中で代表的な錯視の一つが「ミュラーリヤー錯視」です。

ドイツの心理学者であるフランツ・カール・ミュラーリヤーが120年以上前に発表したもので、非常に古くから知られている古典的な錯視図形になります。

上下の水平線の長さを比べてください。この2本の水平線を比べたとき、上段のほうが長く見えてしまうのがミュラーリヤー錯視です。

実際は、両方とも同じ長さになります。

このような錯視が生じる可能性の一つは、水平線の長さを判断するとき、視覚システムが両端に接している矢印をも含めてしまう、ということが考えられます。

水平線の長さだけ判断しようとしても、接している矢印が何らかの影響を与えることが避けられないということです。

人間の視覚システムの不正確性とも言えます。

この錯視のメカニズムについて、1963年ケンブリッジ大学のリチャード・グレゴリーが発表した解釈は、全く違う見方を示しています。

それは、人間の視覚システムは不正確どころか、その世界を正確に空間的に認識しようとしている、そのメカニズムの表れの一つがミュラーリヤー錯視だというものです。

図形の矢印をなくしてしまうと上下段の線分は同じ長さとわかります。

したがって、矢印の存在が錯視を生じさせる要因であることは疑いようがありません。

グレゴリーの解釈によれば、矢印が加わることで、人間の脳は、この図形を二次元ではなく「三次元的(空間的)」に認識するということです。

たとえば、両端に外向きの矢印>ー<が入った線分は、谷折りになっていて遠くの方にあると認識する一方、両端に内向きの矢印<ー>が入った線分は、山折りになっていて近くの方にあると空間的に認識するということです。

遠くにあると脳が認識してるものについては、遠くにあるものなら実物の大きさはより大きいのだろうと考え、逆に近くにあると認識したものについては、近くにあるから大きめに見えてるけど実際はそこまで大きいわけではないと判断してしまうのです。

このメカニズムが影響して、山折りになっていて手前の方にある線分よりも、谷折りで奥の方にある線分の方が実際には長いだろうと脳が判断して、錯視が生じるという説明になります。

無意識のうちに、脳が情報処理を行う過程の解釈によって見え方を修正してるとすれば、人間は実際とは異なるものを知覚していることがあるということになるでしょう。