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ZIPANG-10 TOKIO 2020 全国の姥神像行脚(その82)岩手県一関市 【寄稿文】廣谷知行

2025.11.24 07:05

・岩手県一関市


震災遺構となっている祭時大橋

豊富な温泉が流れる須川高原温泉


岩手県一関市は、同県の最南端にある、人口約10万人の市です。同市は国指定名勝となっている厳美渓や猊鼻渓、秋田県や宮城県との境にある栗駒山などの美しい自然の観光地が多くあり、特に厳美渓のかっこうだんごは、対岸へかごとロープで商品や代金を受け渡すシステムが空飛ぶだんごとして有名です。また、岩手サファリパークがあるのも一関市です。


栗駒山は岩手県側では須川岳とも呼ばれ、その麓には、平成20(2008)年6月14日に発生した震度6強の岩手・宮城内陸地震により崩壊してしまった祭畤(まつるべ)大橋が災害遺構として保存され、地震の恐ろしさを後世に伝えています。また、山頂付近には須川高原温泉があり、湯量の豊富な硫黄温泉が楽しめます。


・吾勝神社


吾勝神社拝殿 

吾勝神社入口の一の鳥居


吾勝神社拝殿手前の二の鳥居


一関市萩荘の自鏡山に吾勝神社(あかつじんじゃ)があり、吾勝勝早忍穂耳尊(あかつかちはやおしほみみのみこと)が祀られています。この神は、日本神話における天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)のことで、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の子であり、大国主命(おおくにぬしのみこと)から国譲りを受けた瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の父になります。


同社は、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東夷征伐のためこの地を訪れた時に、戦勝祈願のため吾勝宮を勧請したのが由来とされ、その後、延歴16(797)年に坂上田村麻呂が蝦夷を制圧する時、日本武尊を勧請し、さらに現在は、吾勝神社の他に日本武尊を祀った白鳥神社、少彦名尊(すくなひこなのみこと)を祀った保呂羽神社を合わせ、自鏡山の中腹に拝殿を建立したものとなっています。


この拝殿に行くには、まず、社務所の横の一の鳥居からしばらく山道を進み、山の中の開けた場所の二の鳥居を見て、この先さらに石段を上って行かなければならず、やや体力が必要となります。


また、この神社が岩手県南部から宮城県北部にかけて伝わる南部神楽の発祥とされ、以前は二の鳥居前の広場で三日間かけ、神楽の奉納が大々的に行われていたと伝わります。


・吾勝神社の姥神像


吾勝神社参道途中にある姥神像


吾勝神社の参道、二の鳥居の先、石段の中ほどに姥神像が納められた祠があります。先に拝殿に行くには体力が必要と述べましたが、実は車で拝殿近くまで行ける道もあります。しかし、こちらを通ると姥神像を見ることができませんので、ご注意ください。この石段途中にある形態は、その43で紹介しました、山形県村山市の中澤不動尊とよく似ていて、参道の途中にあることになりますので、境界-姥神型として祀られていると考えられます。


次回に続く・・・


寄稿文
廣谷知行(ひろたに ともゆき)
姥神信仰研究家


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発行元責任者 鎹八咫烏(ZIPANG TOKIO 2020 編集局)



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