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ピラカンサ・俳句

2025.11.20 08:08

https://ameblo.jp/yujyaku/entry-12552729319.html 【お屋敷は百万両のピラカンサ】より

お屋敷は百万両のピラカンサ( おやしきは ひゃくまんりょうの ぴらかんさ )                    

秋は人も食す果物の季節だが、冬はとなると鳥たちが食べる小粒の実を多く見かける。特に赤い実が多く、なかなか区別がつきにくい。

寺社などの庭園でよく見かける「千両(せんりょう)」「万両(まんりょう)」などは、最初に名前を聞いた時は、非常に違和感を覚えた。

名前の由来については、本ブログでも何度かとり上げたので、ここでは触れないが、お金の名称が、そのまま植物名になるなんて驚きである。

さて、本日の掲句だが、「ピラカンサ」が「万両」の百倍ぐらい沢山の実を付けるので、それを「百万両」に譬えて詠んだ句である。家を覆うように生っていた。

実のところ、「ピラカンサ」=「百万両」というアイデアは、ある読者から示唆されたものだが、まさにその通りだと思う。

尚、「ピラカンサ」は、花を春の季語、実を秋の季語にしている歳時記もあるが、どうもはっきり定まっていないようである。特に実については、もっとも目につくのが今頃なので、冬の季語の方が相応しいと思うがどうだろう。

*千両

ところで、植物名で「両」の付くものは、他に下記のものがある。

一両=蟻通し(ありどおし)、十両=薮柑子(やぶこうじ)、百両=唐橘(からたちばな)。

これらは、実の多さや大きさ、付き方などから命名されたもので、この内、最も多くの実を付けるのが「万両」である。

*万両

因みに、「ピラカンサ」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

【関連句】

① 底冷えの朝を燃やせよピラカンサ

② 碧落に赤冴え冴えとピラカンサ

③ ピラカンサ百万両の赤さかな

①は、ある底冷えのする朝、家を覆うように実を付けているピラカンサを見て詠んだ句。「底冷え」は冬の季語。

②は、青空をバックに赤が浮きたっている様子を詠んだ句。「冴え冴え」は、「冬の寒さが透き通って身にしみるように感じるさま。」などの意味があり、冬の季語になっている。

③は、既述の通り、「万両」の百倍も実をつける「ピラカンサ」を「百万両」として詠んだ句。本日の掲句の元になった句。

「ピラカンサ」は、バラ科トキワサンザシ(ピラカンサ)属の常緑中高木。ヨーロッパ東南部、アジアが原産地。花期は5月~6月で白い小花を咲かす。果実は10月から2月頃までなっている。赤い実の他に橙、黄のものもある。

名前はギリシア語で、火のような真っ赤な実を意味する「pyro=炎」と、枝の「acantha=棘」を合わせてつけられた名前だとか。中国名も同じ趣旨で「火棘(かきょく)」。

和名では、赤い実のものを「常盤山櫨子(ときわさんざし)」といい、橙色(黄色)のものを「橘擬き(たちばなもどき)」という。

「ピラカンサ」を詠んだ句は少ないが、ネットでいくつか見つかったので参考まで掲載した。*「ピラカンサ」は「ピラカンサス」ともいう。

【ピラカンサの参考句】

界隈に言葉多さよピラカンサス(森澄雄)  老人に赤い実固まりピラカンサ(和知喜八)

稲妻に千の目を剥くピラカンサ (秋尾敏) ピラカンサ祈ることばのひとつづつ(小山遥)

降りぐせの路地に灯れるピラカンサ (桝谷栄子)


https://ameblo.jp/yujyaku/entry-12828785116.html【赤血球どくどく流るピラカンサ】より

赤血球どくどく流るピラカンサ( ぴらかんさ どくどくながる せっけっきゅう )

昨日は、赤い実を鈴なりに付ける「南天」を取り上げたが、今日はそれ以上に多くの実を付ける「ピラカンサ」を取り上げたい。

この植物は、木全体を覆うように団子状に実を付け、「南天」とは違った迫力がある。

本日の掲句は、それを、かつて図鑑で見た「赤血球」に喩えて詠んだもの。以下のイラストを見れば当たらずとも遠からずではないだろうか。

*赤血球のイラスト (ネットより)

尚、「ピラカンサ」は、季語としてはっきり定まっていないようだが、掲句では、冬の季語に準じるものとして詠んでいる。

ところで、最近つくづく感心することは、人間の体の精巧さである。今回とリ上げた「赤血球」は、血液細胞の一種で、その役割は、肺から取り込んだ酸素を全身の組織に運ぶことだそうだ。

こういう細やかな仕組みが、誰にも備わっていて、命をつないでいる。冷静に考えてみれば、真に有難いことでありかつ不思議なことである。

話は戻って、「ピラカンサ」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

【関連句】

① とのぐもる師走の空にピラカンサ

② お屋敷は百万両のピラカンサ

③ 去年今年とことん密のピラカンサ

①は、昨年の12月の初めに詠んだ句。どんよりした「師走の空」と真っ赤な「ピラカンサ」の取り合わせで詠んだ。「とのぐもる」とは、空一面が曇ること。

②は、「ピラカンサ」が「万両」の百倍ほど沢山の実を付けるので、それを「百万両」に譬えて詠んだ句である。

③は、ここ数年、耳にたこになった「密」に絡めて詠んだ句。「去年今年(こぞことし)」は、年去り年来る時の流れに対する感慨を表した言葉で新年の季語。

「ピラカンサ」は、バラ科トキワサンザシ(ピラカンサ)属の常緑中高木。ヨーロッパ東南部、アジアが原産地。花期は5月~6月で白い小花を咲かす。果実は10月から2月頃までなっている。赤い実の他に橙、黄のものもある。

*ピラカンサの花 (今年5月に撮影)

名前はギリシア語で、火のような真っ赤な実を意味する「pyro=炎」と、枝の「acantha=棘」を合わせてつけられた名前だとか。中国名も同じ趣旨で「火棘(かきょく)」。

和名では、赤い実のものを「常盤山櫨子(ときわさんざし)」といい、橙色(黄色)のものを「橘擬き(たちばなもどき)」という。

*橘擬き

「ピラカンサ」を詠んだ句は少ないが、ネットでいくつか見つかったので参考まで掲載した。(再掲) *「ピラカンサ」は「ピラカンサス」ともいう。

【ピラカンサの参考句】

界隈に言葉多さよピラカンサス /森澄雄   老人に赤い実固まりピラカンサ /和知喜八

稲妻に千の目を剥くピラカンサ /秋尾敏  降りぐせの路地に灯れるピラカンサ /桝谷栄子

明け方に引けし子の熱ピラカンサ /上野一孝