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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

オルレアンの少女20-英軍退却オルレアン解放

2019.03.02 05:45

オルレアン軍はジャンヌの予言通り、夜にはロワール川に仮橋を渡して街に凱旋することができた。今まで数カ月絶体絶命に追い込まれた中で、ジャンヌが現れるや否や8日で勝利を得てしまったのだ。これを神意と言わずしてどうしよう。街の鐘という鐘が打ち鳴らされ、街民は皆礼拝堂で「テ・デウム」を歌った。

ジャンヌは、隊長達と陥落した砦を、傷の手当てを受けながら守り、反撃の意図がないのを確認して街に戻った。翌5月8日日曜日、英軍は残った砦を取り壊し、街道沿いに整列した。すわ反撃かと、オルレアン軍は外に出て、1時間は睨みあった。仏軍は自信満々ですぐにも戦闘を始めたかったが、ジャンヌが許さなかった。やがて英軍は踵を返すと撤退していった。

この街が完全解放された日がジャンヌ・ダルク祭の最終日となっている。全軍は歓喜して街に凱旋し、街はそれ以上の歓喜で迎え、盛大な蝋燭行列が催された。市民は兵士を完全には信用していなかったが、今やお互いに抱き合った。ジャンヌが奇跡のように、聖戦士の軍に変えていたのである。

シャルルの元へは伝令が逐一出て行った。彼はその状況を味方の町に知らせていたのである、しかし今回は大勝利に継ぐ大勝利の報が伝わり、彼は書いたあとに追伸で手紙を修正しなければならなくなった。その大喜びぶりがわかる。この報は敵方であるパリにも10日には伝わり、ある書記がそれを記した日記に、ちょっとした想像で乙女のマンガを描いた。これが残っている最古のジャンヌの絵だが、もちろん本人の姿を反映していない。

下は映画の撤退シーン