北欧の経済と再生可能エネルギー
北欧圏は人口3千万弱と、ASEAN地域と比較すれば人口規模は小さいが、その一人当たり所得の高さは日本を遥かにしのぎ、世界トップクラスであり、更に北欧近隣にはオランダ、ドイツなどの北欧と並ぶ高GDPを誇る経済大国が多く、北欧を基点として同地域からの観光客、移住者を誘致する事は地域経済に大きなインパクトをもたらす可能性が高い。
スウェーデンの首都ストックホルム
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高福祉国家として注目されるスウェーデン
写真 ストックホルム
自転車の利用者が多く街並みが美しく都市環境の良さは世界屈指、中心市街地への車の入場には料金が課されるなど市内の交通、自然環境がスマートの管理されている。
スウェーデンは日本のバブル崩壊時と近い時期に同様にバブル崩壊により財政破綻の危機に陥った経験がある。
財政再建の過程で政府規模の縮小含め歳出削減の実施に加え、既に高率の所得税などの税率引き上げを実施し、この財政危機を乗り越えた。
スウェーデン政府は産業の高度化へ向け、PC普及率上昇に務め、海外からの高付加価値産業の誘致に成功し、現在の高福祉、高税率の社会福祉制度の理想モデルとも評価される国家、社会体制の構築に成功
スウェーデンは、社会福祉制度が世界でも最も進んでいる国としても非常に有名であり、各国から注目を集めている高福祉国家である。
もちろん、その分税率も高いがあれだけ整備された都市環境及び人々のフレンドリーさから見ると税配分が有効に奏功していると強く感じられる。
コンビニの店員から公共交通機関のスタッフまで皆モチベーションが高く、その親切さには非常に驚かされる。
接客において日本は世界でも非常に高いレベルを有しているのは間違いないが、一度スウェーデンのサービス産業の質の高さも参考になる点が多いかもしれない。
旅行者にとっては物価の高さがネックだが、キャッシュレスが他欧州各国同様進んでおり、空港から市内までのリムジンバスもネットで簡単に予約出来る為利便性が極めて高い。
また日本から距離のある北欧にありながら、ストックホルム市内では驚くほど日本人を多く見かける。
日本としても個人所得が世界屈指の高水準を誇るスウェーデンからの訪日観光客数及び移住者数を増やしたいところだ。
特に人口減少により市場縮小がまのがれない日本において、持続的な経済活性化策としては不動産購入などによる移住者促進策も観光客誘致と同様に両輪で行う必要がある。
長引くデフレのため世界屈指の低価格で高品質な食、医療、住まいが確保できる日本はスウェーデンを含め北欧諸国から見れば異常な低価格水準に映るのは間違いない為、積極的に来日者数の増加、そして移住者の促進へと繋げる事が出来れば良いだろう。
スマート都市のモデルとして注目を集めるハンマビー
ストックホルム近郊のハンマビーは持続可能型都市、スマート都市として世界から注目を集めています。元々は人口増加に直面したストックホルムが工業地帯であった同市を立地の良さから都市開発を進めたものでした。
分別された家庭ゴミは設置されたゴミシューターを通して回収され、生ゴミはバイオマスなどのエネルギーとして公共交通機関の燃料として使用されるエネルギーの再利用が今後のモデルとして海外でも取り入れられています。
経済大国ノルウェー
物価の高い北欧においてもノルウェーの物価及び給与水準は高く、世界レベルで見てもトップクラスであろう。
ノルウェーは欧州屈指の資源国家であり、漁業などの水産資源に加えて、北海油田による石油、天然ガスの輸出収入は国家のGDPの大きな割合を占めるほどだ。
しかし、気候及びフィヨルドの地形を活かし、水力発電によって国内の電力をほとんど賄うことが可能になっている。
また、ノルウェー政府は脱炭素化に積極的に取り組んでおり、ノルウェー首都オスロはEVの普及率が世界でもトップクラスであり、次世代都市として世界中から注目を集めている。
まだまだガソリン車などと比較して非常に高価な電気自動車であるが、ノルウェー政府の優遇政策によって安価に購入が可能となっている。
もちろん、ノルウェー人の給与が世界トップクラスという経済力も関係しているが、急速充電などのインフラも整備されており、EVを購入するインセンティブが豊富に提供されている。
世界最大規模の運用額を誇るノルウェーの政府系ファンド
そしてノルウェーの強みは天然資源だけでは無い。
風力発電などの再生可能エネルギーの開発、そして海洋資源開発においても先端技術を持つため、日本含め、アジアでも多くの海洋探査プロジェクトに技術提供している。
そして、更に豊富な資源収入から得た利益を政府系年金ファンドが運用し、その運用額及びポートフォリオの多彩さは世界最大規模であり、資源価格の下落時におけるリスクヘッジが徹底的になされている。
風力発電で存在感を増すデンマーク
デンマークもノルウェー同様に北海油田による石油、天然ガスに恵まれているが、以前は中東への石油依存が高く、1970年代の石油ショックを機に、国策として他欧州諸国同様再生可能エネルギーを推進してきた。
その後、石炭による火力発電と併用しながら、バイオマス、風力、など再生可能エネルギーへの転換に注力しており、現在では風力発電市場において世界の最先端技術を擁するまでに成長を遂げ、台湾を含め、アジアの風力発電市場へ進出している。
スウェーデンやフィンランドの様に森林面積が多い訳ではないが、農業も盛んであり、特に牧畜業が有名だ。
世界の風力発電市場において圧倒的シェアを誇る VESTAS
港湾運営で世界的に展開する MAERSK
欧州からの訪日観光客数増加を図る
スペイン、フランスは観光客数では世界トップランクに長年位置している超人気観光大国であり、東南アジアではタイが観光立国としてその存在感が知られる。
年間を通して温暖な気候の東南アジアの国々はタイに限らず、ベトナム、ラオス、カンボジア他欧米観光客で常に賑わっており、もし日本もこうした東南アジア諸国同様により欧米観光客の比率を増加できれば、観光市場、日本の各地域経済がより活性化する。
東南アジアは日本と比べ欧州各国に一見近い様に見えるが、フライトの所要時間は実は日本と欧州間のフライト時と比較してあまり違いが無い場合が多い。
最も時間が異なるのは欧州から中東経由をした場合は、タイを含め東南アジア諸国が圧倒的に近くなるが、逆にロシアや北欧経由の場合は時間的にほぼ同じ、または日本の方が短時間のフライトになる場合もある。
北欧フィンランド、東欧のポーランドから日本へは直行便が就航しており、欧州からの訪日観光客の増加を達成するには、こうした北欧路線の活性化が鍵となりそうだ。
またモスクワも重要なハブ空港であり、今後モスクワと日本間のフライト価格が下がれば、東南アジア諸国とのインバウンド競争において、日本の競争力が劇的に増えるだろう。
欧州各国は夏のバケーション時期はリゾートエリアで物価が高騰するし、冬は長く寒いため、温暖な東南アジアが好まれる最大の理由となっている。
日本も北海道から沖縄と多様な気候条件を持つ都市を有するため、通年を通し多様な地域から訪日観光客を誘致することで、持続性が高く、かつ時期に左右されない安定した観光産業の発展が可能となり得るだろう。