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福井中央キリスト教会 【日本同盟基督教団】

「エリサベツの賛美」

2025.11.30 09:32
ルカの福音書 1章 34-45節 
 34. マリアは御使(みつか)いに言った。「どうしてそのようなことが起こるのでしょう。私は男の人を知りませんのに。」 
35. 御使(みつか)いは彼女に答えた。「聖霊があなたの上に臨み、いと高き方の力があなたをおおいます。それゆえ、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれます。 
36. 見なさい。あなたの親類のエリサベツ、あの人もあの年になって男の子を宿しています。不妊と言われていた人なのに、今はもう六か月です。 
37. 神にとって不可能なことは何もありません。」 
38. マリアは言った。「ご覧ください。私は主のはしためです。どうぞ、あなたの おことばどおり、この身になりますように。」すると、御使(みつか)いは彼女から去って行った。 
 39. それから、マリアは立って、山地(さんち)にあるユダの町に急いで行った。 
40. そしてザカリヤの家に行って、エリサベツにあいさつした。 
41. エリサベツがマリアのあいさつを聞いたとき、子が胎内(たいない)で躍(おど)り、エリサベツは 聖霊に満たされた。 
42. そして大声で叫んだ。「あなたは女の中で最も祝福された方。あなたの胎(たい)の実(み)も祝福されています。 
43. 私の主の母が私のところに来られるとは、どうしたことでしょう。 
44. あなたのあいさつの声が私の耳に入った、ちょうどそのとき、私の胎内(たいない)で子どもが喜んで躍(おど)りました。 
45. 主によって語られたことは必ず実現すると信じた人は、幸いです。」  



第Ⅰアドベント礼拝 

2025年11月30日 

ルカの福音書 1章 34-45節 

「エリサベツの賛美」 


 本当に「早いなあ!」と思います。2025年のアドベントに入りました。明日から12月です。主イエス・キリストのご降誕を待ち望む季節。「クリスマスが早く来ないかなあ!」そんな期待や喜びと共に、私たちは厳しい冬の寒さ☃や年末が迫って来るプレッシャー、恐れやあせりも感じながら、もしかしたら、ここに集っているかもしれません。

「今年中に終えなければならないことがあるのに大丈夫かな…? 締め切りまでに間に合うかな…? 仕事が終わるかな…?」そんな不安を抱えながら、ここに座っておられる方がいるかもしれません。また先週、舞い込んだ突然の知らせに、驚き動揺しながら、心落ち着かない方もおられるかもしれません。

 今日の聖書箇所は、クリスマスの際、よく読まれるルカの福音書のみことばです。2人の女性が登場します。1人目はエリサベツ。バプテスマのヨハネのお母さんとなる女性です。 

バプテスマのヨハネは、神様から特別な使命を与えられて生まれて来た子どもでした。イエス・キリストが来られることの前触れをする預言者。イエス様が来られる前準備をする存在でした(1:17)。この世のことで頭いっぱいの人々の心を、主なる神様に向けさせる働きです(1:16)。そして人々のまなざしをイエス様に向かわせる使命が託されました。 

バプテスマのヨハネの母親となるように選ばれたのがエリサベツでした。彼女はこの時、高齢の女性でした(1:7)。今では「まだ若い」としかられそうですが、当時は高齢と見なされた60代前後だったでしょう。周りの女の子たち同様、結婚適齢期にあたる十代半ばから後半にかけて結婚していたと思います。神殿で礼拝奉仕にあたる祭司の家柄のザカリヤと結婚しました。エリザベスも祭司の家系でした(1:5)。モーセのお兄さんアロンから千数百年間、引き継がれて来た名門の家柄です。当然のように跡取りを残すこと。息子を祭司として立て、家を継承することを期待され、結婚生活を送って来ました。けれども残念ながら、二人には願っていた赤ちゃんが与えられませんでした。

 「エリザベスが不妊だった」と聖書は記します(1:7)。どうして、こういう時、妻だけが原因と言われてしまうのかな…? 夫に原因があるかもしれないのに…と思いますが、厳しい現実でした。 

祭司の家が次の世代に継承されない。夫婦にとって、どれほどつらく、悲しいことだったでしょうか。エリサベツはその痛みを背負いながら。これまで生きて来ました。

そんな2人にある日突然、「妊娠!」の知らせが届くのです。夫ザカリヤが神殿で公務に就いていた時。突然、御使いガブリエルが現れ、「あなたの妻エリサベツが男の子を産みます」と告げたのです(1:13)。 事実その通り、高齢女性であったエリザベスのお腹の中に新しい命が宿ります。

うれしい!びっくり!!と同時に、エリサ ベツは大きな不安も抱えたでしょう。これから待っているのは危険な超高齢出産なのです。現代のように、前もって入院できて、リスクを軽減できる最先端の産婦人科病棟など無かった時代です。母親と赤ちゃんの両方に命の危険が待っている出産が控えてました。 

また周囲の目や心無いうわさも、エリサベツを悩ませたのではないでしょうか。「良かったね。おめでとう!」と喜んでくれる人もいれば、「いい年をした夫婦なのに…、いやね」と変なうわさをする人たちも周りにいたのではないでしょうか。 

そして、特別な使命を神様から頂いた子をお腹に宿していることは、喜びと同時に、大きなプレッシャーも感じていたでしょう。無事にこの子を産んで、ちゃんと育てなくてはと。  

もう一人の女性、イエス様の母となるマリアもとっても不安だったでしょう。同じ御使いガブリエルから、突然の受胎告知を受けたばかりでした(1:26-38)。当時は許されない未婚の母となってしまったのです。まだ処女であること、聖霊によってみごもったことを婚約者のヨセフは信じてくれるでしょうか…?  

親や親せき、周囲からの厳しく冷たいまなざし、「いったい誰の子なの?」という厳しい追及が待っていそうでした。  

そしてエリサベツ同様、特別な使命を帯びた子を宿している大きなプレッシャーがありました。特にマリアは神の子ご自身を宿したのです。神様の大きな守りがあることは分かっていましたが、初のお産へと、不安と恐れの中で進んで行かなければなりませんでした。 

 そんな期待と大きな不安を抱えた二人の女性が出会った場面です。

ルカ1章39,40節
 それから、マリアは立って、山地にあるユダの町に急いで行った。そしてザカリヤの家に行って、エリサベツにあいさつした。 

 どうしてマリアは急いだのでしょうか? 確かめたかったからではないでしょうか。御使いガブリエルの約束を自分の目で。

ルカ1章36,37節
 見なさい。あなたの親類のエリサベツ、あの人もあの年になって男の子を宿しています。不妊と言われていた人なのに、今はもう六か月です。神にとって不可能なことは何もありません。」  

処女である自分のお腹に「男の子が宿る」と神様は約束された。人間の常識をはるかに超えた奇跡的妊娠をマリアが受け入れ、信じることができるように、神様はエリサベツの妊娠を例に挙げてくださったのです。60代半ば、もう妊娠が難しい高齢のエリサベツにも子どもが与えられた。マリアは「神様には本当に不可能なことがない」ことを確かめたかったのではないでしょうか。

この驚き、この感動をエリサベツと分かち合いたかったのではないでしょうか。強烈な体験をした者同士の強いつながり、互いに特別な妊娠をした「ママ友」として、その体験を共有し、共に神様に祈りたかったのではないかと思います。 

 マリアがエリサベツに会って、あいさつを交わした瞬間、不思議なことが起こります。

41節
 エリサベツがマリアのあいさつを聞いたとき、子が胎内で躍り、エリサベツは聖霊に満たされた。

  エリサベツのお腹の中にいた赤ちゃん、後のバプテスマのヨハネですが、その子がマリアの声を聞いて反応し、激しくお母さんのお腹をキックしたのです。そしてエリサベツは聖霊に満たされて、大声でマリアに語りかけます。

42節
そして大声で叫んだ。「あなたは女の中で最も祝福された方。あなたの胎の実も祝福されています。  

この上もなく祝福された人よ!と最上級の、地球で一番祝福されていますという表現です。神様の特別な祝福、最上の祝福を頂いているマリアさん!エリサベツは感動して言います!さらに、

43節
「私の主の母が私のところに来られるとは、どうしたことでしょう。」  

マリアに宿っている子は普通の子ではない。超特別な子ども、主なる神様ご自身がマリアの胎内におられる! エリサベツはそう示され、感嘆の声を上げています。そして

45節
「主によって語られたことは必ず実現すると信じた人は、幸いです。」 

 マリアへの受胎告知の現場に自分もいたかのように、エリサベツは聖霊に示されて語りました!

 「ご覧ください。私は主のはしためです。どうぞ、あなたのおことばどおり、この身になりますように。」(1:38)

マリアの信仰告白を神様は喜んでくださっているよ、良かったね! エリサベツを通して、神様の温かいみ声が聞こえてきたのではないでしょうか。  

不安を抱えた者同士が出会いました。恐れを抱いていた二人の妊婦さんが顔を合わせました。不安や恐れが倍増したかと言うと、それとは正反対のことが起こりました!平安と喜び、期待が生まれました。神様への信仰と感謝、感動の賛美が生まれたのです。

 「あなたは女の中で最も祝福された方。あなたの胎の実も祝福されています。」  

 聖霊に満たされたエリサベツが、マリアに語ったこのお祝いの言葉は、今、私たち一人ひとりにも向けられています。実際に私たちはイエス様を胎に宿すことはできませんが、今あなたの心の内にイエス様はいてくださるのです。 

 ガラテヤ人への手紙 2章 20節 
もはや私が生きているのではなく、キリストが私のうちに生きておられるのです。 

 先ほど交読した箇所、

エペソ人への手紙3章17節 
信仰によって、あなたがたの心のうちにキリストを住まわせてくださいますように。  
ローマ人への手紙8章10節
 キリストがあなたがたのうちにおられるなら、  

イエス様は、あなたと共に、あなたの心の内にいてくださいます。私たちの祈り、思いを、一番近い所で聴かれ、知ってくださっています。ですから、私たちは、「女の中で最も祝福された者」であり、「男の中で最も祝福された者」なのです。 

 アドベントそしてクリスマス

 この喜びを歌っている聖歌の歌詞を最後に見ていきます。 

 聖歌 560 「心にあるこの安きを」
 1. 心にあるこの安きを 奪うもの地になし   
 試みにて苦しむとも 我が安き動かじ  
 我がものなる主を宿す その喜び言いがたし   
 主のたまえり「我などて なれを捨てて去るべき」 

 祈ります。