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UST-ESSX:棒高跳用ポールが出来るまで!

2019.03.03 03:40

今回はテキサス州ダラスにあります「UST-ESSX」に訪問しました。 

ここで作っているESSXポールはSam Kendricks選手が使用していることで有名です。 


【「UST-ESSX」とは?】 

UST-ESSXは「UST-Mamiya」という日系企業を親会社に持つ会社です。 

親会社UST-Mamiyaではゴルフクラブの製造・販売を行っており、2011年からUST-ESSXにて棒高跳用ポールの製造・販売を開始しました。 

UST-ESSXは、現在Sam Kendricks選手をはじめ、Pawel Wojciechowski選手、Valentine Lavillenie選手、Sondre Guttormsen選手らが使用しています。

比較的新しいメーカーながら、この数年で世界トップレベルの選手が使用するシーンをよく見るようになりました。 


今回はESSXポールの製造から販売管理の全てを担うオフィス兼工場を訪問しました。 

当日はちょうどポールの製造を行っている真っ只中ということで、非常に面白いシーンを見ることが出来ました。 残念ながら工場内は撮影NGでしたので、公式SNSが公開している写真と共に工場の様子を紹介します。  


【ポールが出来るまで】 

①受注 

UST-ESSXでは全てのポールにおいて、注文が届いてから製造を開始します。

全てのポールが、セミオーダーメイドです。 


②材料の準備 

材料となるグラスファイバーとカーボンは大きな冷蔵庫に保存されています。

オーダーに合わせて、使用する材料を準備していきます。 

材料となるグラスファイバー、カーボンを設計図に合わせてカットしていきます。カットされたものは「セルピース」と呼ばれ、このセルピースの形がポールの硬さや長さを決めます。 

現在ESSXポールでは2種類のブランドを展開しており、ブランドに合わせて使用する材料、また基本となるセルピースの形が異なります。  


③ポールの作成 

準備した材料とオーダーをもとに、ポールを作成していきます。 

実際にポールが出来上がるまでの工程は約2~3時間です。 

ペラペラのシートが3時間後には1本のポールへと変化します。 

今回は訪問した際には、ざっと50本ほどのポールが同時に製造されていました。 

1日、1年間に製造されるポールの本数は”企業秘密”だそうですが、ここ数年で製造しているポールの本数はどんどん増えているようです。


④ポールの品質チェック 

完成したポールがオーダーの通りにできているのかをチェックしていきます。 

専用の機械を使いポールを曲げ、硬さの測定をします。 

基本的には、オーダーに対して±0.1フレックスという非常に小さい誤差でポールを作ることが出来るそうです! オーダー通りにできていない場合は、作り直しとなります。 


⑤ロゴラベルの貼り付け 

ブランドロゴのラベルを貼り付けて完成! 

注文者のもとへ発送されていきます。 


 【ESSXのこだわり”セルピース”!?】 

セルピースとはポールのメインとなる材料です。 

このセルピースを巻くことで、ポールは作られていきます。 

そして、セルピースの形はポールの硬さやポールの動きの個性を作ります。 

つまりセルピースの形が違うと、同じブランド、長さ、硬さのポールだったとしても、ポールが違った曲がり方をするそうです。 

使いやすいポールとそうでないポールがあると感じたことがある選手は、このセルピースが影響している場合があります。  


ESSXではこのセルピースの設計図が各選手・ブランドによって管理されています。 

これまで製造してきたポールのセルピースのデザインがデータベース化されています。

そのため、違う長さや硬さのポールをオーダーしても、選手は全く同じような曲がりや動きをするポールを手にすることが出来るそうです。  


実はUST-ESSXは今年にベースとなるセルピースのデザインをより曲がりが長く続くように変更しているそうです。これまでのESSXポールのベースデザインは、他メーカーに対して非常に跳ね返りの早いデザインで設計していたそうです。今回の変更により、より他のメーカーを使っていた選手でも使いやすく、そしてより軽いポールに変化したそうです。


また、当日はSam Kendricks選手とSondre Guttormsen選手のポールの製造もちょうど行われていました。 彼らのポールのセルピースは選手のスタイルに合わせて特別に設計されています。

実際に使用されているセルピースを見ると、全く形が異なっていました。 

Sam Kendricks選手のポールは、彼の技術に合わせて、通常よりも跳ね返りが早くなるように作られていました。そしてこのデザインは、彼が使用する全てのポールで共通しています。

このようなセルピースのデザインを徹底的に管理することで、選手の希望に合ったポールを作ることが出来るのだそうです。



 最後に、棒高跳用ポールの未来について聞いてみました。  

”ESSXポールをみんなが使えば、もっと高く跳べると思うよ!

僕たちは大量にポールを製造することはないけれど、全て同じように、思い通りのポールを作れる。

ポールの個性の違いによって選手が悩むこともなくなるだろうし、それがポールメーカーが一番大切にすべきことだと思う。

ESSXを使えば、選手がポールに悩まされることなく、もっと高く跳べるよ!”  


現在ESSXポールは日本での販売ルートを持っていませんが、親会社が日系企業ということもあり、アジアでの販売も非常に前向きに考えているそうです。 

これから、ESSXポールを使用する日本人選手も増えてくるのかもしれませんね!!