玉虫色の決着?
なぜかこのブログ記事が勝手に削除されていたので、一部表現を変えて、再アップする。
下記の記事によると、「福岡市が管理する6つの漁港では、漁船以外の係留が禁止されているにも関わらず漁協がプレジャーボート向けに無許可で係留場所を貸し出していました。」
これを受けて、福岡市漁港管理条例(昭和37年11月19日 条例第53号)の「改正案では現在約350隻ある不法係留船について、漁業に支障がない範囲で市が適正に管理して漁港で受け入れ、一律の利用料を徴収するとしています。
一方、漁協が昨年度までの7年間に得た約1億9000万円の利用料収入については、漁協が管理費用を負担してきたことなどから返還は求めないとしています。」
漁船及び国若しくは地方公共団体の所有する船舶以外の船舶(ex.プレジャーボート)を漁港の区域内の水域に停係泊しようとする者は、あらかじめ市長の許可を得なければならず(福岡市漁港管理条例第11条の2第1項)、これに違反した者は、5万円以下の過料を科されることになっているのだが(同条例第16条第3号)、記事を読む限り、プレジャーボートを不法係留していた者に対し、過料を科していない。
漁協に利用料を支払っていたからだろうか?
また、許可権限は、市長にあるのに、漁協が勝手に貸し出して利用料を受け取っていた以上、漁協に対してもそれ相応の制裁を加えるべきだが、当該条例には両罰規定がないので、処罰できない。
当該条例の改正案が記事に載っていないが、許可制の実効性を確保するため、両罰規定も設けるべきではないか。
下記の記事によると、「有識者会議で、市は担当部署にいた市幹部ら61人(退職者含む)に行った調査結果を報告。条例違反を認識していた職員が半数以上いたことが判明し、同会議は「他の業務を優先し、後回しにされた結果、組織的な共有がされずに長期化、積極的な対応につながらなかった」と結論づけた。」
福岡市が長年黙認していたわけだ。
黙認は、職務怠慢であり、法令遵守義務違反であって(地方公務員法第32条)、懲戒処分の対象になり得る(同法第29条第1項第1号・第2号)。
福岡市のHPを見る限り、現時点でこの件に関して懲戒処分が行われた形跡はない。
この事件を受けて、福岡県が県管理漁港のプレジャーボート係留状況について調査したところ、漁協が貸出をしているケースはなかったそうだ。
ただ、県への利用の届出及び使用料の納入をせずに無断で係留されているプレジャーボートを26隻確認した。
同じ県内の漁港であっても、福岡県が管理する漁港と福岡市が管理する漁港とでは、取締の強弱・緩急が異なるため、このような違いが生まれたのではなかろうか。