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建築工房『akitsu・秋津』

空間が物語る、豊かな暮らし。

2025.12.24 19:00

「普通の家」で終わらせない。

「理想の家を建てたい!」と夢見て始めたはずなのに、打ち合わせを重ねるほど、なぜか漠然とした不安が大きくなる…。そんな経験はありませんか?実は多くの人が、気づかないうちに家づくりの本質を見失い、「もったいない選択」をしています。

この記事では、単なる要望の実現で終わらない、家族の未来を豊かにする「最高の我が家」を建てるための、設計者との対話の本質についてお伝えします。

 

1|要望だけでは家は普通に

家づくりを始める際、ほとんどの人が「収納はたくさん」「リビングは広く」といった要望リストを作成します。もちろん、これは思考を整理する上で大切な第一歩です。しかし、このリストが家の可能性を狭める原因にもなり得ることをご存じでしょうか。

要望とは、いわば暮らしの「点」です。設計者がその「点」をただ図面上につないでいくだけの作業に終始すると、出来上がるのは機能的に問題はないけれど、心は満たされない「普通の家」。

例えば、「収納を増やした結果、リビングが圧迫されて居心地が悪くなった」「動線を優先しすぎて、かえって落ち着ける場所がなくなった」という失敗は、暮らしを「線」や「面」で捉えられなかった典型例です。要望リストはゴールではなく、あくまで対話のきっかけに過ぎないのです。

 

2|ゴールは「未来の暮らし」

「今の家の不満を解消したい」。その気持ちは痛いほどわかります。しかし、家づくりのゴールをそこに設定してしまうと、完成する家は「今より少しマシな家」の域を出ません。せっかくの注文住宅が、最新設備を備えた賃貸住宅の延長線上で終わってしまうのは、あまりにも惜しいことです。

注文住宅の真価は、「この家で、これからどんな時間を過ごしたいか」という未来の物語をデザインできる点にあります。「洗濯をラクにしたい」という要望の奥には、きっと「家事に追われる時間を減らし、家族と語らったり、自分の趣味に没頭したりする時間を大切にしたい」という本質的な願いが隠れています。

その願いまで設計者と共有できて初めて、単なる家事動線ではない、「人生が豊かになる空間」が生まれるのです。5年後、10年後、あなたはこの家でどんな光を浴び、どんな音を聞いていたいですか?

 

3|心地よさをデザインする

優れた設計者は、間取り図には描かれない価値、すなわち「心地よさ」をデザインします。それは、論理や数値だけでは説明しきれない、感覚的な豊かさのことです。

例えば、朝、顔を洗う洗面台に朝日が柔らかく差し込む気持ちよさ。夕暮れ時、照明をつけなくても美しい陰影がリビングに広がる静けさ。家のどこにいても家族の気配をほのかに感じられる安心感。

私は、窓の大きさと位置だけでなく、その窓から何が見え、季節や時間によって光がどう変化するかまでを想像します。図面上のセンチメートル単位の調整が、日々の暮らしの中で何十年にもわたる「心地よさ」を生み出すことを知っているからです。

 

4|AIにできない「人の力」

今後、AIは最適な間取りパターンを無数に提案してくるでしょう。しかし、どれだけ技術が進歩しても、人間にしかできない領域が厳然として存在します。それは、あなたの人生に深く寄り添い、まだ言葉にならない想いを汲み取り、共に未来を創造していくプロセスです。

本当に信頼できる設計パートナーは、まるで三人の専門家の力を兼ね備えています。

カウンセラーのような「傾聴力」:対話を通じて、言葉になりにくい本音や願いを引き出す力。

翻訳家のような「構想力」:漠然としたイメージを、建築という具体的な形に置き換える力。

プロデューサーのような「提案力」:家族の可能性を広げ、暮らしをより豊かにする提案を導く力。

こうした温かく創造的な人間力こそが、家をただの「箱」から、かけがえのない「我が家」へと昇華させるのです。

 

5|最高のパートナーを見極める

もしあなたが、心から満足できる家づくりをしたいと願うなら、打ち合わせで設計者にこの質問をしてみてください。

「このお家が完成したら、私たちの毎日はどんなふうに楽しくなりますか?」

この問いに対し、「最新の断熱材で快適ですよ」「収納が多いので片付きます」といった機能面の説明に終始するのではなく、目を輝かせながら「お子さんが成長したらこのスペースは書斎になりますね」「休日の朝は、この窓辺でコーヒーを飲むのがきっと最高の時間になりますよ」といった、あなた家族の未来の物語を具体的に語ってくれる人。その人こそ、人生を託すに値する最高のパートナーです。

家づくりは、家族の未来を見つめ直す最高の機会。臆することなく、あなたの物語をたくさん語ってください。