「スーパー・コールドムーン」が赤い牡牛の目と並んで昇る、今週の夜空
https://forbesjapan.com/articles/detail/86059 【「スーパー・コールドムーン」が赤い牡牛の目と並んで昇る、今週の夜空】より
12月は、月が冬を代表する星座の明るい星々と次々に邂逅する壮麗な眺めで幕を開ける。明け方の空できらめく水星や、ふたご座で輝きを増す木星など、見どころは尽きない。コートと好奇心を抱えて外に出る人も、双眼鏡で天体観測に挑む筋金入りの天文ファンも、今週は以下の点を押さえて星空を見上げてみてほしい。2025年12月2日からの1週間の夜空についてまとめた。
12月4日(木):月とすばる
4日の未明~明け方と、夕方~深夜の2度にわたり、月とおうし座のプレアデス星団(すばる)が接近する。月齢は13.5~14で、淡い星は月明かりのため見えにくくなるが、ギリシャ神話の7人姉妹になぞらえて英語で「セブンシスターズ」と呼ばれる散開星団のきらめきを垣間見られるかもしれない。
4日の日没後は、夜の闇が辺りを覆うにつれて、東の空に月とプレアデス星団が並んで姿を現し、すぐ後に1等星アルデバランが続く。その後、牡牛を追いかけるようにオリオン座が昇ってくる。南の空高くには土星が輝いている。
2025年12月4日(東京:午後7時30分頃)の東の空(Stellarium)
2025年12月4日(東京:午後7時30分頃)の東の空(Stellarium)
12月5日(金):「コールドムーン」の満月
日本時間5日午後10時19分に、2025年最後の満月の瞬間「望」が訪れる。おうし座の「角の先」に位置するこの満月は、11月の「究極のスーパームーン」ほどではないものの、通常よりわずかに大きく、明るく見えるスーパームーンだ。12月の満月は北米先住民の農事暦で「コールドムーン(寒月)」と呼ばれ、「ロングナイトムーン(長夜の月)」や「ムーンビフォアユール(冬至祭/クリスマスの前の月)」などの異称もある。
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12月の「コールドムーン」 2025年最後にして2番目に大きく、最も天高く昇る満月を見よう
最も印象的な眺めが期待できるのは、夕暮れ時の東の地平線から顔を出した直後だ。「月の錯視(moon illusion)」という目の錯覚効果により、中天にあるときよりも月が大きく見える。これは、付近の建物や樹木、山などと比較して、人間の脳が月をより大きく感じてしまうためだといわれている。
米ニューヨーク・ハドソンヤードのエッジ展望台の背後に昇るコールドムーンの満月(Gary Hershorn/Getty Images))
12月8日(月):水星が西方最大離角
「早起きは三文の徳」というが、12月上旬には夜明け前に空を眺めた人だけが堪能できる楽しみがある。太陽系の最も内側を公転していて、太陽の輝きに埋もれてしまいがちな水星が、日の出の約45~30分前に東南東の低空で明るく輝くのだ。
水星は8日、見かけの位置が太陽から最も離れる「最大離角」となる。明るさはマイナス0.5等級程度、高度は10度を超えているので、明け方の水星としては今年最も見つけやすい。満月を過ぎたばかりだが、月は西の空にあり、その明るさは水星探しの邪魔にはならない。東側に遮るもののない開けた視界と、スマートフォンの星空アプリがあれば、薄明の空でも難なく太陽系最小の惑星を見つけられるだろう。
12月上旬の夜明け前の水星の位置(国立天文台)
12月上旬の夜明け前の水星の位置(国立天文台)
今週の星座:おうし座
12月上旬は、おうし座が宵の東の空を支配する。鮮やかな赤い目に見立てられる1等星アルデバランがひときわ輝き、ヒアデス星団がV字型の頭部を形づくっている。その上方にはプレアデス星団(すばる)がきらめく。
おうし座(E. Slawik/NOIRLab/NSF/AURA/M. Zamani)
おうし座のモデルは、ギリシャ神話で主神ゼウスが美女エウロパを連れ去るために変身した牡牛の姿だとされ、最も古い星座の1つといわれている。12月22日の冬至に向けて、夜毎に高度を上げていくのを観察してみよう。