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Fashion Source: Art of Being

Hakone Luxury Memo🖊 静けさに満ちる、小さな旅の余白

2025.12.07 14:55

急に誘われた箱根行き。

前日の昼、母が調べたいくつかのホテルをGPTに分析させていると、

「ここでいい」と心が自然に頷いた。

その直感に従って予約し、

いま、80歳の母と箱根を歩いている。

今日のひとこま。


◆ 岡田美術館でいただいた、きのこうどん。

湯気の奥から立ちのぼる出汁の香りが、

ゆっくりと身体の奥に染みていく。

ふわりと踊るかつお節は、

まるでこの一杯だけの小さな風を纏っているようで、

器の中に静かな時間が流れはじめる。

つややかに弧を描くうどん、

柔らかい緑の葉、

きのこの淡い色。

どの素材も声を張らず、

ただ自分の持つ“優しさ”だけでそこにいる。

ひとくちすすると、

余計な力がどこにもなくて、

“ああ、満ちるってこういうことか”

と気づかされるような味がする。

派手さはないのに、

空気がすっと整う、

そんな上品な一杯だった。


◆ 足湯カフェでのパフェ。

足湯の温もりがまだ足の奥に残るまま、

風のない午後の光が、

ゆっくりとパフェのガラスに反射していた。

背後には、金箔の絵画が静かに佇み、

まるでこちらの小さな時間を

そっと祝福しているかのようだった。

湯気の消えかけたカップと、

とろりと沈む黒蜜、

白玉の丸い影。

どれも主張しすぎず、

ただ“そこにある”だけなのに、

なぜだろう——

空気がふわりと豊かになる。

箱根がつくる贅沢は、

飾らず、語らず、

ただ静かに“余白”として置かれているかのようだ。

このパフェみたいに。


◆ 美術、庭、食、足湯。

どれも主張せず、

過不足がない距離で寄り添い、

気づけば、静かなラグジュアリーに包まれていた。


箱根は、

“贅沢です” と言わない場所だ。

むしろ、

ふとした“間”にそっと豊かさを置いていく。


◆ 気づいたこと。

受け取ることが自然になると、

世界の方が小さな声で話しはじめる。

動きすぎなくていい。

欲しがらなくていい。

求めなくていい。


ただ満ちた状態で、

差し出されているものを受け取れると、

景色が静かに美しくなる。