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改正区分所有法・標準管理規約改正 Q&A    ー実務に関わる30の疑問に回答

2025.12.08 23:29

 2025年5月23日、「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」が成立し、同月30日に公布されました。この改正は、1983年以来、約23年ぶりの大規模な区分所有法改正となります。

改正の背景

 我が国のマンションは総数が700万戸を超え、重要な居住形態の一つとなっています。一方で、建物の老朽化と区分所有者の高齢化という「二つの老い」が進行し、外壁の剥落等の危険や集会決議の困難化などの課題が顕在化しています。さらに、所有者不明化や非居住化の進展により、老朽化建物の管理・再生のための合意形成が困難になるケースが増加しています。

 今回の改正は、こうした課題に対応し、マンションの新築から再生までのライフサイクル全体を見通して、その管理及び再生の円滑化を図ることを目的としています。


基本事項

Q1: 改正区分所有法はいつから施行されますか?

A: 2026年4月1日から施行されます。2025年5月23日に成立し、同月30日に公布されました。


Q2: 既存のマンションにも適用されますか?

A: はい、施行日時点ですでに存在するマンションにも適用されます。ただし、2026年3月31日までに招集通知を発送した総会については、総会開催が4月1日以降でも旧区分所有法が適用されます。


Q3: 現在の管理規約はどうなりますか?

A: 2026年4月1日時点で新区分所有法と抵触する管理規約の定めは無効となります。施行日までに規約改正を行う必要があります。




出席者多数決について

Q4: 出席者多数決とは何ですか?

A: 総会で決議を行う際、総区分所有者の4分の3ではなく、実際に総会に出席した区分所有者(議決権行使書・委任状含む)の多数で決議できる制度です。


Q5: どのような決議が出席者多数決の対象になりますか?

A: 以下の決議が対象となります:

普通決議

共用部分の変更決議

復旧決議

規約の設定・変更・廃止

管理組合法人の設立・解散

義務違反者への措置

管理組合法人による区分所有権等の取得

対象外: 建替え・建物敷地売却・取壊しのような区分所有権の処分を伴う決議


Q6: 出席者多数決には定足数がありますか?

A: はい、普通決議以外の特別多数決議には、総区分所有者及び総議決権の各過半数という定足数が必要です。この定足数は緩和できませんが、上乗せすることは可能です。


Q7: 招集通知に変更はありますか?

A: はい、招集通知に議案の要領を全ての議案について記載しなければなりません。また、招集期間の最短期間が1週間となり、これを短縮することはできません(伸ばすことは可能)。




所在等不明区分所有者の除外決定

Q8: 所在等不明区分所有者とは?

A: 以下のような状況にある区分所有者を指します:

相続人全員が相続放棄している

住民票を追うなど必要な調査を尽くしたが所在が分からない

法人区分所有者の所在が分からず実態もなくなっている


Q9: 所在等不明区分所有者がいる場合、どうすればよいですか?

A: 裁判所の非訟事件手続により、決議の分母から除外する決定を受けることができます。除外決定後は、その区分所有者を決議の分母にカウントせず、招集通知も送る必要がありません。




共用部分の変更決議

Q10: 共用部分の変更決議の要件が緩和されたと聞きましたが?

A: 耐震化工事やエレベーター設置などの場合、出席区分所有者及び出席議決権の各3分の2以上の決議に緩和されました(通常は各4分の3以上)。


Q11: 決議要件が緩和される工事にはどのようなものがありますか?

A: 以下の工事が対象です:

耐震化工事: 共用部分の設置・保存の瑕疵により権利侵害のおそれがある場合の瑕疵除去工事

バリアフリー化工事: エレベーター設置など、高齢者や障害者の移動や施設利用の利便性・安全性を向上させる工事




配管等の全面更新

Q12: 専有部分の配管工事も管理組合が行えるようになったのですか?

A: はい、管理規約に特別の定めがあり、総会の決議があれば、共用部分の配管工事と一体として専有部分の配管工事も実施できるようになりました。


Q13: 配管の全面更新を行うための手続きは?

A: 以下の手順が必要です:

1.管理規約に特別の定めを設ける

2.総会で決議(通常は普通決議、構造躯体に影響がある場合は4分の3以上の特別多数決議)

3.衡平性確保措置を実施(すでに配管工事を行った区分所有者への配慮)


Q14: 配管工事の費用は修繕積立金から支出できますか?

A: はい、専有部分配管の工事費用も修繕積立金から支出することが可能です。ただし、修繕積立金の使途変更と衡平性確保措置が必要です。


Q15: 衡平性確保措置とは何ですか?

A: 先行して専有部分の配管工事を行った区分所有者がいる場合、その区分所有者が負担した費用などを考慮し、区分所有者間の利害の衡平を図る措置です。払い戻しなどが考えられます。事前のアンケートや調査の実施が重要です。




国内管理人制度

Q16: 国内管理人制度とは何ですか?

A: 区分所有者が国外に居住している場合、専有部分及び共用部分の管理に関する事務を行わせるため、国内に住所または居所を有する者を管理人として選任できる制度です。


Q17: 国内管理人の権限は何ですか?

A: 以下の権限があります:

専有部分の保存行為(水漏れ対応など)

専有部分の性質を変えない範囲での利用・改良(貸出し、リフォーム)

総会招集通知の受領

総会における議決権の行使

管理費・修繕積立金の支払い等の債務の弁済


Q18: 国内管理人の選任は義務ですか?

A: 法律上は義務ではありませんが、管理規約で義務付けることができます。標準管理規約では選任後の届出を義務化しています。




管理規約改正の実務

Q19: 2026年4月1日に無効になる管理規約の規定は?

A: 以下の規定が無効になります:

特別多数決議を「組合員総数の4分の3以上」とする規定(出席者多数決に変更)

特別多数決議の定足数を「議決権総数の半数以上」とする規定(各過半数に変更)

復旧決議を「組合員総数の4分の3以上」とする規定(出席者の3分の2以上に変更)

総会招集期間を5日を下回らない範囲で短縮できるとする規定(1週間を下回らない範囲に変更)


Q20: 管理規約改正はいつまでに行えばよいですか?

A: 2026年4月1日の施行日までに改正を完了することが望ましいです。施行日以降は抵触する規定が無効となります。


Q21: 施行日前に管理規約を改正する場合の手続きは?

A: 2026年3月31日までに招集通知を発送する場合:

総区分所有者及び総議決権の各4分の3以上の賛成が必要

改正規約は「令和8年4月1日から効力を発する」と記載

総会の会日の2週間前までに招集通知を発送


Q22: 施行日後に管理規約を改正する場合の手続きは?

A: 2026年4月1日以降に招集通知を発送する場合:

出席区分所有者及び出席議決権の各4分の3以上の賛成が必要

定足数は総区分所有者及び議決権総数の過半数

改正規約は「承認後直ちに効力を発する」と記載

総会の会日の1週間前(最低)までに招集通知を発送




標準管理規約の改正

Q23: 標準管理規約はいつ改正されましたか?

A: 2025年10月17日に改正版が公表されました。改正区分所有法への対応と社会情勢の変化への対応が主な内容です。


Q24: 普通決議の定足数はどう変わりましたか?

A: 「議決権総数の半数以上」から「議決権総数の過半数」に変更されました。半数ちょうどは含まないことになります。ただし、小規模マンション等では従来どおり「半数以上」とすることも可能です。


Q25: 社会情勢を踏まえた見直しにはどのようなものがありますか?

A: 以下の3点が追加されました:

管理組合の役員等の本人確認

管理組合の理事の職務代行者の規定

管理組合が取り組むべき防災関係業務




その他

Q26: 区分所有者の責務とは何ですか?

A: 新設された規定で、区分所有者は管理組合の構成員として、建物・敷地・附属施設の管理が適正かつ円滑に行われるよう相互に協力しなければならないとされました。ただし、違反に対する具体的効果はありません。


Q27: 管理規約改正にあたって専門家に相談すべきですか?

A: はい、マンション管理士会や管理組合団体などの専門家に相談することが推奨されます。また、事前の専門委員会での検討や説明会の開催も検討してください。


Q28: 今回の改正の背景は何ですか?

A: マンションの「二つの老い」(建物の老朽化と区分所有者の高齢化)への対応が主な背景です。所有者不明化・非居住化が進む中、老朽化建物の管理・再生のための合意形成を円滑化することが目的です。


Q29: 建替え決議の要件も緩和されましたか?

A: はい、建替え決議の要件も緩和されましたが、これは今回のQ&Aでは詳しく扱っていません。建替え決議は区分所有権の処分を伴うため、出席者多数決の対象外です。


Q30: 改正法について詳しく知りたい場合はどうすればよいですか?

A: 国土交通省のウェブサイトで改正法の詳細資料が公開されています。また、マンション管理士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。




サイト内リンク>

区分所有法改正案(新旧対照表) マンションみらい価値研究所

マンション標準管理規約(単棟型)国土交通省