【10/13妊産婦等支援ネットワーク形成交会】に参加して
0日目の赤ちゃんを守るために
こどもの虐待死の検証結果によると、令和6年度に亡くなった65人のうち、0歳児が33人で約7割を占めていました。
さらにその中でも、生まれた当日に亡くなった「日齢0日児」は16人で約5割。
これは、出産直後のほんの数時間に命を落としてしまう赤ちゃんが少なくない、という深刻な現状を示しています。
加害者として最も多かったのは実母の19人で約4割、背景には
• 予期せぬ妊娠
• 妊婦健診を受けられなかった
• 誰にも相談できないままの出産
• 産んだ直後の孤立
といった「妊娠期〜出産直後のサポート不足」が大きく関係していることも分かっています。
出産前から寄り添う支援が必要に
令和4年度の児童福祉法改正では、妊娠中や出産後の母子を支える体制をより強化するため、「妊産婦等生活援助事業」 が新しく創設され、支援拠点が各地で誕生しました。(令和6年4月1日施行)
この事業では、
• 一時的に安心して過ごせる住まい
• 食事の提供
• 養育に関する情報提供
• 医療機関など関係機関との連携
といった 生活と心の安全を支える仕組み が整えられています。
出産前後は、ただでさえ心も体も揺れやすい時期。
そこに「孤独」「経済的不安」「誰にも言えない事情」などが重なると、母子ともに大きな危険につながることがあります。
「どうしたらいいのか分からない」「ひとりで抱え込んでしまう」
そんな状態に置かれた女性を、妊娠中から丁寧につなぐための大切な支援が動き出しました。
「心を開けない」お母さんがいるという現実
先日の交流会で、支援団体の方が
「今まで愛情を受けたことがなく、人を信用していない母親の心をいかに開くかが課題です。」
とお話しされていました。
この言葉が強く心に残っています。
どれほど制度が整っても、支援メニューが充実しても、
「人を信じられない」状態にあるお母さんには、助けを求めることができず、その支援にすら手を伸ばせない場合があります。
孤立の背景には、過去の傷つき、虐待経験、家庭崩壊、パートナーからの暴力、パートナーの失踪、性被害、家族との断絶など…
その人がこれまで生きてきた過去が深く影を落としています。
こうした「こころの閉ざし」をどうやって少しずつ緩めていくのか。
これは、支援の最前線に立つ方々が共通して抱える大きなテーマです。
ソシオエステティックができること
私がソシオエステティックの活動をする中で強く感じるのは、手のぬくもりには、人の心を緩める力があるということです。
信頼関係がまだ築けていなくても、「安心できるタッチ」や「優しい関わり」を通して、お母さんが、「この人なら大丈夫かもしれない」「話してもいいかもしれない」と思う瞬間が生まれます。
それは、支援の入口に立つためのとても大切なステップです。
ソシオエステティックは、支援の現場に貢献できる可能性が大きいと感じています。
そのためには、ソシオエステティックの認知と理解が先決です。
救える母子がもっと増えることを願って、このブログを書いています。