【年頭挨拶】 新たな試練に立ち向かい、中古車市場の信頼回復を目指して 井上貴之・一般社団法人日本自動車購入協会協会(JPUC)代表理事
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。 旧年中は、一般社団法人 日本自動車購入協会(JPUC)の活動に、多大なるご支援、ご協力を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。
現在、自動車産業は、デジタル化、市場のグローバル化、サプライチェーンの複雑化、労働力不足、そして脱炭素化といった、複合的かつ大きな変革期に直面しています。こうした情勢下で、私たち中古自動車買取市場を取り巻く環境は、金利・物価の高騰や買取競争の激化に加え、若者の車離れ、人口減少、新車販売台数の減少など、複合的な要因により事業環境の悪化が深刻化しました。
その結果、残念ながら一部の事業者において経営の継続が困難となり、消費者の皆様の信頼を大きく揺るがす社会的な問題が散見されました。このような状況は、単に個々の事業者の問題に留まらず、業界全体の信頼性を著しく低下させる深刻な危機をもたらしています。
JPUCは、この喫緊の課題に対し、消費者保護と業界の健全化を最重要ミッションと位置づけ、本年も精力的に活動を展開してまいります。
昨年、JPUCは特に以下の2点に注力し、消費者保護と事業の透明性向上に向けた具体的な一歩を踏み出しました。
1. 消費者保全の仕組み構築に向けた検討の開始
JPUCは、媒体事業者・買取事業者が主な会員構成であり、消費者が自動車を売却する際に媒体の一括査定を利用するケースが多いことを鑑み、緊急対応として、会員媒体事業者に対し、一括査定に参加する買取事業者の参加基準の厳格化を要請するとともに、非会員媒体事業者にも協力を呼び掛けました。
さらに、事業者の破産や倒産が発生した際、消費者の皆様が購入代金や車両を失う被害を最小限に抑えるための仕組みとして、「消費者保全決済部会」を設置し、業界として消費者を保護する責任を明確にした具体的な保全策の構築を急いでいます。
2. 過剰広告の自主規制と公正競争の推進
中古車業界における消費者トラブルの原因の一つである「過剰広告」に対し、自主規制の強化を推し進めております。特に、消費者に誤解を与える優良誤認表示や、不当に有利であると誤認させる有利誤認表示による顧客誘引の防止は急務です。
現在、中古車買取における適正な表示を定める「自動車買取公正競争規約」の制定に向け、関係省庁や業界団体との連携を深めながら、精力的に取り組んでいます。
2026年は、これらの取り組みを一歩でも二歩でも前進させ、具体的な成果として結実させる年といたします。中古車業界がより高い信頼を勝ち取るためには、事業者の皆様一人ひとりの高い倫理観と、公正な取引に向けたJPUCの活動への深いご理解とご協力が不可欠です。
JPUCは、中古車を安心して売却できる「透明性の高い業界」の実現こそが、持続的に発展する唯一の道であると確信しています。
本年も、全会員、関係者の皆様とともに、消費者の方々からの信頼を回復し、中古車業界の未来を切り拓くべく、尽力してまいる所存です。
皆様のさらなるご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。