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ファウスト法律事務所

3か月の治療対応通告→5か月の治療を確保

2025.12.15 09:27

交通事故に遭い、通院していると、保険会社から「事故からもうすぐ3か月になります」、「骨折がないムチウチでは3か月くらいで」と連絡があり、まだ痛みがあるし病院の先生や整骨院の先生も頑張って治しましょうと言ってくれているのに...ということがよくあります。

一般に、「打ち切り」と呼ばれているものです。

いつまで治療を続けるか、これは非常に難しいところですが、まずはお体が第一ですのでしっかり治るまで医師や整骨院の先生の指導の下、加療に努められるべきでしょう。

ただし、損害賠償として加害者へ請求していくことができる治療費となると、一定の制限がかかります。つまり、事故による負傷に対し、「必要かつ相当な治療・施術」が損害の範囲となり、その範囲では加害者は被害者へ支払いをしなければなりません。逆に、その範囲を超えた部分の治療費等は、お体のために必要と考えて通院されること自体は否定されませんが、そこでかかった治療費は事故の賠償からは外れることになります(自己負担)。

(症状固定時期の判断)

どこまでが必要かつ相当な治療・施術か、つまり治療が効果を上げている期間を過ぎて症状が固定した段階となれば、それ以降の治療については相手方へ請求することはできません。その判断は、

①傷害および症状の内容(例えば神経症状のみか)

②症状の推移(治療による改善の有無、一進一退か)

③治療・処置の内容(対症療法か、治療内容の変化はあるか)

④治療経過(通院頻度の変化、治療中断の有無)

⑤検査結果(他覚所見の有無)

⑥当該症状につき症状固定に要する通常の期間

⑦交通事故の状況(例えば衝撃の程度)

などを総合的に考慮して事案ごとになされなければなりません。

保険会社の「打ち切り」も上記観点から判断して妥当であれば受け入れるべき場合もあるでしょう。弁護士も、相当な期間と判断すれば、依頼者へその旨を説明し、納得していただく場合もあります。

しかし、事故態様は重大事故で衝撃も相当大きいと考えられる事故であるのに、「他覚所見のないむち打ち症であるから3か月」、あるいは「普通の人なら2か月くらいで治るから2か月」などと通告された場合には、果たして本当に十分な根拠に基づく通告であるのか検討した上で、治療対応期間についても協議の余地があるでしょう。

治療期間は、十分な治療が受けられ事故前の体に戻せるかどうかという被害者の切実な問題に関係します。さらに、経済的な賠償の面でも通院期間は慰謝料の金額に関係します。

実際のケースでは、保険会社からの「医師への医療照会の結果を踏まえて3か月での打ち切り」との通告から、事故状況(車が大破)や被害者の現状(回復状況、勤務への支障状況)などを説明して、協議の後、5か月までの整形外科、整骨院での治療・施術を確保できました。交渉の途中、整形外科のみであれば認めるとのお話もありましたが、お仕事の関係からも整形外科は月2回程度、仕事帰りに行ける整骨院に週2、3回程度通われて治療効果が上がっている方でしたので、整骨院への通院対応も5か月間認めてもらうように話をして、認めていただきました。

症状固定時期についても、損害の金額と同様に、「どこまでが事故と因果関係がある必要かつ相当な治療か」というのは最終的には裁判所が判断するものであり、保険会社の一存で決まるものではありません。もちろん弁護士の一存で決まるものでもありません。

しかし、すべての事故を裁判で決する必要はなく、裁判での症状固定時期の判断、考え方は裁判例という形で公開されていますから(上記①~⑦の考慮要素も主に交通事故に関わる裁判官が考え方を示したものです。赤い本2013年下巻講演録)、それに照らして考えてみれば、正確な時期までは難しくても、「妥当な一定の範囲」というのは導き出せるはずです。

弁護士の入った示談交渉では、被害者の方の回復状況や事故の状況等を踏まえて、この事故での「妥当な一定の範囲」を導き、保険会社と十分に協議しながら必要かつ相当な期間の治療を確保できるように対応していきます。

また、ケースによっては、症状固定時期について保険会社との考えが折り合わないときには、直接相手方自賠責保険へ被害者請求して治療費(例えば、保険会社が終わりといった後の1か月間自費にて通院した分)や自賠責慰謝料等をいったん回収して、その後、改めて、保険会社と治療期間や弁護士基準慰謝料について交渉を再開するという場合もあります。

個別のケースによりベストな方法を検討して対応しております。まずはご相談ください。