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「Das Fräulein Weissmann sass im Garten」Benno Pludra Regine Roder

2019.03.04 09:25

戦後ドイツを代表する児童文学作家のひとりベンノー・プルードラの作品は、ここ日本でも、岩波少年文庫をはじめいくつもの作品が翻訳されているので、読んだことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ですがこの絵本「Das Fräulein Weissmann sass im Garten」はそうした日本語に翻訳されているプルードラの作品とは大分毛色が違います。

絵を描いているRegine Röderの作風(それは幾つかのシュルレアリスムのアーティストを彷彿とさせるような)によるものも勿論ありますが、プルードラがこの絵本では散文ではなく、詩で物語を語っていることも大きいでしょうか。

ひとりの女性の哀しい生涯を歌ったこの絵本は、多くの人に薦められるような類の絵本ではないのですけれど、確かな魅力と独特の美意識を持った、美しい絵本です。

ただ可愛らしい絵本ではもう飽き足りないと感じている、この絵本の波長とぴったりと合う人には、きっと多くの癒やしを与えてくれる、そしてまた、新しい表現に興味のある人には多くのインスピレーションを与えてくれる、そんな絵本ではないかと思います。

ルネ・マグリット、アンリ・ルソー、ビネッテ・シュレーダー、そんな作家たちが、自分の中で親しい作家であると感じている人には、この絵本はきっと素晴らしい一冊になってくれると思います。