「宇田川源流」【日本報道検証】 経済政策ができない習近平の中国が迎える悲観的な「未来」
「宇田川源流」【日本報道検証】 経済政策ができない習近平の中国が迎える悲観的な「未来」
毎週火曜日と木曜日は、「日本報道検証」として、まあニュース解説というか、またはそれに関連するトリビアの披露とか、報道に関する内容を言ってみたり、または、報道に関する感想や社会的な問題点、日本人の文化性から見た内容を書き込んでいる。実際に、宇田川が何を感じているかということが共有できれば良いと思っているので、よろしくお願いいたます。
さて今回は、中国の景気の実態と、それに関連する庶民の生活状況について、少なくとも日本で検索できる情報と、中国の人々に電話などで確認した内容を元に、その中国の実態に迫ってみたいと思います。
中国経済の現状は、2025年現在、中国経済は成長率の鈍化が顕著です。過去10年以上続いた高成長期から一転し、GDP成長率は政府目標の5%前後を維持するのがやっとという状況です。背景には以下の要因があります。その要因としては、まずは不動産市場の低迷があげられます。中国経済の大きな柱だった不動産業が深刻な不況に陥り、デベロッパーの債務問題が続いています。日本のバブル崩壊も同じですが、基本的には、不動産開発業者の景気の悪化は、そのまま、不動産市場の悪化だけではなく、関連する建築業者や資材業者、またはその地域に対するインフラの過剰設備など、様々なところで景気を悪化させる要因になります。また、そのことによって、金融機関も貸付金の回収ができず、金融機関の主な収入であるはずの貸付金利が入らなくなるということになり、金融機関の経理状態が悪化します。このことは金融機関の「貸し渋り」や「貸しはがし」が出てくることになり、連鎖的な景気の悪化を引き起こすことになります。また、一般の投資家も投資金額が回収できないということから余剰資金や可処分所得がなくなるということを意味しており、そのことで、まさに「経済心理的な余裕」が無くなってくるということになります。
景気が悪化するのは、不動産だけではありません。世界的な需要減退や米国との摩擦により、輸出依存型の成長モデルが揺らいでいます。とくに中国の場合は基礎開発が少なく、また一時は知的財産権で問題になったことがあるようにあまり研究開発を行っていないということがあり、そのことから、新商品を中国が生み出すということができないでいます。また、中国の企業は伝統的な共産主義にある「唯物史観」的な考え方から、目に見えないものに価値を感じないような人が少なくなく、「信用」とか「信頼」「道徳(商慣習)」等に無頓着であることから、その商品が良い製品、または価格が安くても、中国製の商品に手を出さないという人が少なくないということも、中国経済に打撃を与えていることになります。
<参考記事>
「もはや中国、四面楚歌」経済アナリスト指摘…焦る習近平、GDP下方修正待ったなし!日本への報復措置が与える「ブーメラン」
2025年12月17日 9時0分 みんかぶマガジン
https://news.livedoor.com/article/detail/30216699/
<以上参考記事>
これらの中国の構造的またはイデオロギー的な景気の悪化要因で、一般の人々の投資や消費者心理が冷え込み、支出を控える傾向が強まっています。
このことから「貧困セット」のようなものが出てくることになるのです。報道されている「貧困セット」とは、マクドナルドやKFCなどのファストフード店が、低価格のセットメニューを販売し始めたことを指します。これは単なるマーケティングではなく、消費者の購買力低下を反映した現象です。若者や都市部の中間層が、外食でも「節約」を意識するようになっています。高級ブランドや外食産業の売上は鈍化し、低価格帯の商品が人気を集めています。このことは、輸入品や自動車産業にも大きく影響を与えており、中国の家電や自動車に関しても、「節約志向」が大きく影響し買い控えが大きくなっているということになるのです。このことは日本における「インバウンド需要」臭いて、最近では「爆買い」が報道をされなくなったことにも見ることができます。
また、日本のバブル崩壊後と同じように大学新卒の就職難も起きています。日本では、「就職氷河期」などといわれた内容です。中国では毎年1,000万人以上の大学卒業生が誕生しますが、近年は就職率の悪化が深刻です。ITや不動産などの成長産業が停滞し、求人が減少していますし、また、民間企業の瀋陽がないので、公務員試験や大学院進学を目指す若者が急増し、「就職氷河期」真っただ中にあるといって過言ではありません。優秀な若者は、海外に就職してしまい、結局あまり優秀ではない人か、または公務いんっしか残らないというようなことになってしまっています。このことを数字で見てみれば、若者の失業率は公式発表で約15%前後とされますが、実態はさらに高い可能性があります。これは、「就職が決まっていない学生は卒業させない」などという大学が数多くあり、実際は就職が決まっていないのに内定通知だけを偽造している真率性も少なくないということになるからです。
こうした経済環境は、庶民の生活に直接影響しています。まずは、日本と同じで節約志向の強まりが見えます外食や娯楽を控え、生活必需品に支出を集中することになります。当然に、経済は全体的にデフレ傾向になり、またサービス業などは徐々に悪化してゆくことになります。当然にそれらの減少は「就職先がなくなる」ということを意味しており、日本と同様に正規雇用が少なくなってゆくことになるのです。そして、副業やギグワークの増加が見えることになります。配達員やライブ配信など、非正規の仕事で収入を補う人が増えています。同時に、住宅購入のハードル上昇し、不動産価格は下落傾向ですが、ローン審査の厳格化や将来不安で購入を控える層が多いことになります。そもそも信用をあまり大事にしない国なので、ローンなどもなく、結局は庶民の生活に全てしわ寄せがくるということになっているようです。
中国経済は「急激な崩壊」ではなく、長期的な構造転換期にあるといえます。製造業・不動産依存から、ハイテクや内需主導型への移行を目指していますが、その過程で若者の失業や消費低迷といった痛みが顕在化しています。庶民の生活は「贅沢から節約へ」シフトし、社会全体に不安感が広がっているのが現状です。
中国では近年、経済成長の鈍化が顕著になっています。輸出依存型のモデルが限界を迎え、国内消費も伸び悩む中、不動産市場の低迷や地方政府の債務問題が重くのしかかっています。こうした経済的停滞は、庶民の生活に直接影響を与えています。特に若年層の失業率が高止まりし、就職難が社会全体に不満を広げています。都市部では生活コストの上昇と所得の伸び悩みが重なり、将来への不安が強まっています。
このような状況は政治的な安定性にも影響を及ぼしています。中国の政治体制は長らく「経済成長による正当性」を基盤としてきましたが、その前提が揺らぐことで、政府への信頼が徐々に低下しています。地方では抗議活動やデモが散発的に発生し、オンライン上では不満の声が広がっています。もっとも、強力な統制と監視体制により大規模な政治危機には至っていませんが、社会の底流には不安定要素が蓄積しているのが現状です。
総じて、景気悪化と生活の苦境は政治的リスクを高める要因となっていますが、それが直ちに体制崩壊に結びつくわけではありません。むしろ、政府は統制強化やナショナリズムの喚起によって不満を抑え込もうとしています。しかし、この対応は長期的にはさらなる緊張を生む可能性があり、今後の中国社会は「経済停滞と政治統制のせめぎ合い」という構図に置かれると考えられます。
中国の景気悪化は、国内政治の不安定化を招きやすく、これが日本との外交に複雑な影響を与えます。大きく分けると次のような構図が見られます。
第一に、国内統治の優先による対外姿勢の硬化です。経済成長が鈍化すると、政権は国内の不満を抑えるためにナショナリズムを強調しがちです。日本との歴史問題や領土問題が再び強調され、外交的緊張が高まる可能性があります。これは、国内支持を固めるための「外敵」利用という典型的なパターンです。
第二に経済依存の再調整と日本企業への影響ということがでてきます。景気悪化は中国の輸出産業や投資に打撃を与え、日本企業の中国市場依存リスクを顕在化させます。一方で、中国は外資導入を強化するため、日本との経済協力を維持・拡大する動きもあり得ます。つまり、政治的には緊張しつつも、経済面では「現実的協力」が続く二面性が生じます。
そして第三に地政学的リスクの増幅ということが出てきます。国内不安が強まると、中国は南シナ海や東シナ海で強硬姿勢を取る可能性が高まり、日本の安全保障政策に影響します。防衛費増額や米国との連携強化が進み、日中関係は「競争と対話の両立」から「競争色の強化」へ傾く恐れがあります。
そして国際秩序への対応と日本の立ち位置ということが見えてきます。中国が内向きになると、国際協調よりも自国優先の政策が強まり、日本はサプライチェーン再構築やASEANとの連携強化を急ぐ必要があります。結果として、日本外交は「中国リスク分散」を軸に再設計されるでしょう。
このように、景気悪化による中国政治の不安定は、日本外交に「緊張の高まり」と「経済協力の現実性」という相反する要素を同時にもたらします。
この日本との外交を「安全保障」「経済」「地域協力」の三つの軸で、中国の景気悪化と政治的不安定が日本外交に与える影響を詳しく整理します。
・ 安全保障の軸
中国の国内不安は、政権が統治の正当性を維持するために強硬な対外姿勢を取る誘因になります。東シナ海や尖閣諸島周辺での活動が活発化し、日本の防衛政策はより抑止力重視へと傾きます。結果として、日本は米国との安全保障協力を強化し、日米同盟の役割がさらに前面に出るでしょう。これは、地域の軍事バランスに緊張をもたらし、偶発的な衝突リスクを高める要因となります。
・ 経済の軸
景気悪化は中国市場の魅力を相対的に低下させ、日本企業にとってリスク管理が重要になります。一方で、中国は外資導入を維持するため、日本との経済協力を完全に断つことは避けるでしょう。したがって、政治的には摩擦が増しても、サプライチェーンや投資の一部は継続される「現実的な関係」が残ります。ただし、日本側はASEANやインドなど代替市場へのシフトを加速させ、経済安全保障の観点から中国依存度を減らす戦略を強めると考えられます。
・ 地域協力の軸
中国が内向きになり、国際協調よりも国内安定を優先する場合、地域秩序の空白が生じます。日本はこの空白を埋めるため、ASEAN諸国やインド、オーストラリアとの連携を強化し、自由で開かれたインド太平洋構想を推進するでしょう。これは、中国を排除するというより、リスク分散と地域安定のための戦略的選択です。しかし、中国が経済的に追い詰められるほど、地域協力の場で対立的な姿勢を強める可能性があり、外交の駆け引きは一層複雑になります。
さて電話の調査によれば、中国ではこれらの景気不安と経済不安、そして政治的な混乱から、富裕層が中国を脱出しているといい、その脱出を手伝う業者まで出てきているといいます。これは習近平政権の経済政策が全く機能していないということを意味しています。少なくとも将来を悲観している人が多いということのようです。さて、このような中国国内の富裕層の動きを見て、日本はどのように行動すべきなのでしょうか。
来年に向けてよく考えて行動すべきかもしれません。