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「スケートと出会うことができて、本当に幸せだった」三原舞依

2025.12.19 09:04

2025年全日本フィギュアスケート選手権大会の女子ショートプログラムに出場した三原舞依は、「戦場のメリークリスマス」を万感の思いを込めて滑り、62.77点を記録した。前日に今季限りでの引退を表明し、18年間にわたる競技生活の集大成として臨んだ舞台だった。会場は、彼女の一歩一歩を見届けようとする温かな声援に包まれていた。


演技後の会見では、冒頭のジャンプを成功させた一方で、終盤の連続ジャンプでミスが出たことに悔しさをにじませた。6分間練習では感覚が良く、落ち着いて跳べていたものの、少し思い切りすぎた部分があったという。それでも、ジャンプ後は気持ちを切り替え、スピンやステップ、最後のスピンまで集中して滑り切れた点を前向きに受け止めていた。


着氷が乱れながらもトウループをつなげた場面については、長年の経験があったからこその判断だったと振り返る。途中で足をついたり単独ジャンプ扱いになったりすると大きく点数を落とすことを、18年間の競技生活で何度も味わってきた。3回転―3回転が決まらなかった悔しさは残るものの、ルッツの着氷後に意地でトウループをつけられたことに、わずかながら前進を感じていると語った。


プログラム全体は、自身の歩みと向き合う時間でもあったという。最初のポーズで音楽が鳴った瞬間、振付師のデヴィッド・ウィルソンからかけられた言葉を思い出し、ピアノの音に耳を傾けながら、これまでの出来事を振り返っていた。気づけばダブルアクセルを降りているような感覚で、深く集中しながらも、過去と現在が重なる演技だったと明かした。コーチからフリップを評価されたことも励みになり、緊張の中でも声援を力に変えて滑れたことへの感謝を口にした。


引退表明後の反響については、友人や世界中のスケーターから多くのメッセージが届き、幸せな気持ちで眠れない夜を過ごしたと打ち明けた。ここ数日は寝不足が続いていたものの、頭の中は嬉しい出来事で満たされていたという。スケートと出会えたこと、そして多くの人と出会えたことへの感謝の思いを、改めて噛みしめていた。

満員の観客からの声援についても言葉を尽くした。西日本選手権を終えてから、全日本の舞台で滑る姿を何度も思い描いてきた中で、想像以上の応援と多くのバナーが目に入り、観客一人ひとりの表情を見ることができたことが何より嬉しかったという。最後までステップを大きく使って滑れたのは、その感謝を少しでも伝えたいという思いがあったからだと語り、ファンへの思いで締めくくった。




取材:TomoyukiNishikawa/SportsPressJP