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中間マークが良い助走へのカギ?

2019.03.15 02:19

「助走」は棒高跳にとって最も重要なことだということは、多くの選手、コーチが理解していると思います。 そして、この「助走」を合わせるために、助走のスタート位置や中間マーク、また踏切位置を大切にしていると思います。 


アメリカのトップコーチたちは、選手の助走をチェックする際に、踏切位置ではなく「中間マーク」を先にチェックしています。(中には中間マークだけをチェックするコーチもいます。)

そして、コーチたちには中間マークの位置を決定する際に「DJ’s Mid Chart」と呼ばれる、中間マーク早見表を使用しています。 

 今回はこの「DJ's Mid Chart」について紹介します。 


 【「DJ's Mid Chart」とは?】 

David F. Johnstonは、現在大学陸上部のコーチとして活躍しています。

これまでに高校、大学、代表コーチとして多くの選手の指導をしてきました。棒高跳の指導についても、これまでに数名のオリンピック選手を輩出、1つのメダルを獲得しています。 

「DJ's Mid Chart」は彼がまとめた中間マークの早見表で、コーチが携帯して、指導の際に活用している場面を目にします。  


【正しい助走とは?】 

まず初めに、彼の助走に対する考えを知ることが重要です。 

”より良い(速度が速く、いつも同じ)助走を行うことが、棒高跳において最も重要です。 

適切な助走開始の位置、ポール保持、ポール降ろし、姿勢、これらすべて正確に、またいつも同じように行われていることが、正しい助走を意味します。

速く走ることよりも、正しい助走が出来ていることを優先させます。そして、踏切の前に、速くて正確な助走が出来ているかどうかが、その後のポールにエネルギーを伝える以前に重要です。”


 ①助走のスタート

良い助走をするためには、1歩目から加速をし、中間マークまでに適切なストライドを得る必要があります。 

ゆっくりと助走をすることや加速をコントロールすることは、助走の乱れ、オーバーストライド、姿勢の乱れ、ポール保持の乱れを引き起こし、踏切前の加速が難しくなります。 


②中間マーク後 

中間マークを越えて、最後の6歩では、ストライドを維持しながら、足の回転を速くしていきます。

また他の跳躍種目と同様に、踏切に向けての準備が行われます。 

そして踏切では、早く、高く、そして積極的な突込みを行います。  


【「DJ's Mid Chart」で中間マークを決定する】

この表は、適切な中間マーク(踏切6歩前)の位置を予想する際に効果的です。 

以下に「DJ's Mid Chart」を一部抜粋したものを載せています。

(オリジナル版はフィート表記なので、左欄にはメートルに換算したものを追加しています。)

この表は、選手のグリップ位置をもとに、正しい助走を行うために適切とされる中間マークの位置を示します。この表で示される中間マークの位置から前後1ft.(1足長)を目安に調整すると、簡単に中間マークを設定できます。

 

グリップ位置を参考に、この表から明らかに遠い位置を中間マークとしている場合は、最後の6歩でオーバーストライドになり、加速が出来ていない可能性があります。 

また反対に中間マークが明らかに近い場合は、中間マークまでに十分な加速が出来ていない、またはすでに姿勢が崩れている、踏切前に大きく失速している可能性があります。 


またこの「DJ's Mid Chart」には、グリップの位置に対して目安となるバーの高さが記載されています。

例)15~15'2ft.グリップ / バーの高さ17ft. 

15ft.(4m60)を握っている場合は、17ft.(5m20)の記録が目安になります。 

15ft.を握っていて、15ft.の記録の場合は、技術面に大きな弱点があることがわかります。一方で、15ft.を握っていて、17ft.の記録の場合は、次の記録に向けて握りをあげることが求められます。 

このように選手の課題を見つけるものさしとしても、活用できます。 


ただし、この表はあくまでも平均的な中間マークの位置を示したものです。

もちろん、性別や身体特性の差により、必ずしもこの表通りにはなりません。 

最終的には選手の傾向を理解しつつ、選手に応じた位置を調整すれば良いです。 

しかし、その際にも選手が本当に「正しく助走」が出来ているのかに注目してください。  


【中間マークをチェックする理由】 

中間マークをチェックする理由として、踏切位置だけでは助走の距離が合っているかどうかを評価できないという点があります。

 例えば、踏切位置が近い場合でも、踏切前6歩の接地が中間マークよりも遠い場合。 

この時は、スタート位置を近づけることで、助走位置が合うと考えられます。


いつも同じ助走が出来ることがまずは前提となりますが、中間マークになる位置をしっかりと把握しておくことで、正しい助走を行うことに繋がります。 

何度も(100回)助走を練習することで、正しい助走の動きをまずは定着させましょう。 


今回紹介した表は助走を改善するための一つのツールです。 

適切な踏切位置で踏み切ることは重要ですが、それと同じくらい、もしくはそれ以上に中間マークが適切に設定できているかも、助走にとっては重要になってきます。

今回の記事が、今の助走が果たしてうまく走れているかどうか、一度考えるきっかけになればと思います。


以下に、オリジナルのリンクも貼っておきます。