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「4年後じゃなくて、来年の全日本で1位を取る」中田璃士

2025.12.20 13:04

ミラノ・コルティナ五輪の最終選考会を兼ねた全日本フィギュアスケート選手権。男子フリーで最終グループに名を連ねたジュニア王者の中田璃士は、左足の怪我という逆境を抱えながらも果敢に4回転ジャンプに挑み、総合4位で大会を終えた。

演技を終えた直後の表情には、悔しさと同時に、どこかやり切った者だけが見せる落ち着きがあった。合計248.65点、4位という結果については「結果は全然良くなかった」と厳しく受け止めながらも、「たくさんのお客さんの前で滑れたこと、この良い緊張感をしっかり味わえたことが本当に嬉しい」と率直な心境を語った。


今大会に向けては、左足中足骨の疲労骨折を抱える厳しい状況にあった。「この舞台に立つこと自体、不可能だと思っていた」という言葉からは、出場そのものがぎりぎりの判断だったことがうかがえる。それでもオリンピック選考を懸けた全日本、しかも男子最終グループ、後半滑走という重圧の中でリンクに立った経験に、中田は確かな価値を見いだしていた。


「ジュニアという立場だけど、しっかりオリンピックに行くつもりで、この緊張感を味わいたかった」。その覚悟を映すように、演技の滑り出しは安定感があった。入りについて問われると、「入りは柔らかくて、良いスタートは切れたと思う」と自らの感覚を明かす。冒頭の4回転サルコウ、続く4回転トゥループのコンビネーションについても「最初の2本はすごく自分の中で出来が良かった」と手応えを口にした。


一方で、中盤以降の失速は本人が最も強く課題として捉えている部分だ。今回は通常とは逆から始まるステップ構成だったことで移動距離が長くなり、「ループを跳ぶまでが本当に遠く感じた」と振り返る。「後半にスピードが落ちてしまうのが今の課題」と明言し、「シニアの選手は最後までスピードが落ちない。来年シニアに上がった時には、自分もそういう滑りをしたい」と次の段階を見据えた。


1年前は銀メダルを手にしていた中田が、今回は表彰台を逃した。その背景には、本人が語る独特の感覚があった。「ホテルを出る前から、今日は3位か4位、その中でも4位になりそうだなという予感があった」。未来を見通すかのような感覚について、中田自身は「未来が見えるというより、イメージするのが得意」と分析する。「初めて4回転を降りた時も、イメージができてから、その通りに跳べた」。ただこの日は、表彰台のイメージ以上に「4位」という良くない方のイメージが強くなり、その通りの結果になってしまったという。


競技を離れれば、表彰台に立った先輩たちとは気心の知れた関係にある。「普段から喋ったり、ゲームをしたり、野球の話をしたりしている。遠征で相部屋になることも多くて、本当に仲が良いから呼び捨てで呼んでいる」。その一方で、リンク上では明確な競争相手だ。「4年前の選考会から活躍していて、かっこいい憧れの存在」と敬意を示しつつも、「今の3人の位置に割って入りたい」という思いを隠さない。


ジュニアという枠を超え、大舞台での強さと課題の両方を突きつけられた今大会。それでも視線はすでに次を向いている。「4年後じゃなくて、来年の全日本で1位を目指す。来年、1位を取る」。怪我を抱えながら得たこの経験は、中田璃士にとって未来を具体的に描き直すための一戦となった。氷上で思い描くイメージは、すでに次の全日本、その頂点をはっきりと捉えている。


写真:AkitoMizutani/SportsPressJP 

取材:TomoyukiNishikawa/SportsPressJP