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石川県人 心の旅 by 石田寛人

ニューヨークでのハーモニー

2025.12.24 15:00

 11月19日から26日まで足かけ8日間、ニューヨーク(NY)に出かけてきた。かの地で金沢のカルチャースクール石心の席主佃優子さんを中心とするグループが Harmony of Japanと題するイベントを開催して、石川県と日本文化の紹介を行ったのに同行したのである。正確には、このイベントは日本棋院石心支部の主催で、日本将棋連盟駒みらい支部が協力、後援には石川県、石川県囲碁協会、日本将棋連盟石川県支部連合会に、石川県人会も加わり、在ニューヨーク総領事館のアドバイスを頂きながら進めたものである。石川県内の多くの企業、団体そして個人の方々から、格別の支援と協賛を頂いたので、このNY開催が可能になった。

 イベントの内容は、石川県の紹介、囲碁将棋のワークショップ、書道のパフォーマンス、そしてバイオリンとコントラバスの演奏で、ニューヨーク石川県人会の方々との交流も計画した。 一行は、囲碁将棋は佃優子さんと令息の宮岸龍氏、書道は日展書家の宇多青莎(律子)さん、音楽は、東京藝大卒業のグループRhy Zooの宮川清一郎氏と加藤光貴氏がそれぞれ担当し、私も加えて6人が日本から出発した。Rhy Zooのピアニスト石黒龍一氏は体の状況から訪米を取り止め、現地で活動するコントラバス奏者の杉本望海氏が参加した。

 泊まったホテルは、マンハッタンの48番通りにあり、7番街と8番街の間。タイムズスクエアまで徒歩1分で、ミュージカル劇場が集まるいわゆるブロードウェイ地域の真ん中にあった。この極めて便利な場所で、NY滞在を効率よく過ごすことができた。

 一行はまず在NY総領事館を訪問して、相真紀子広報センター長と藤内綾次長に今回のイベント予定を報告し、NYでイベントを行う際に心得るべきことを教えて頂いた。さらに、現地で長く活躍されているBarry Rinkoさんと食事をともにして、近年のNY事情を伺った。また、近くにある囲碁のNY棋院を訪問し、米国の囲碁の状況をお聞きした。

 イベントは、20日にマンハッタンのMidtown Flexible Performance Spaceと呼ばれる文化施設で、22日にニュージャージー州の日本人学校で開催した。前者はNY日本人会の方々や囲碁愛好家をはじめとする一般の方々向けのもので、後者の対象は、日本人学校の児童生徒さんと教員、ご家族の皆さんであった。一行が自己紹介と挨拶を行った後、石川県、特に能登の状況を紹介した。次いで、バイオリンとコントラバスによる音楽演奏となり、米国で好まれる楽曲が次々に演奏されて、会場は大いに沸いた。囲碁のワークショップは、「ヒカルの碁」の紹介やクイズ形式の参加型のプレゼンが来場者を引き付けた。将棋では、チェスとの相違の説明もあった。書道のパフォーマンスでは、大筆が動いて字が書かれていくプロセスに息を呑み、文化施設開催の時には、多くの人が普通の筆で、大きな紙に銘々思う字を書き込んで楽しんだ。これらの魅力あるプレゼンによって、会場の方々や児童生徒の皆さんは、日本文化のよさを十分楽しまれたようだった。

 NY石川県人会の宮本ボーグ麗会長は、文化施設でのイベントに参加され、私と一緒に挨拶されるとともに、木越彩子副会長とともにメンバー8人と一行が会食交流する場を設けられた。会食に出席されたNY県人会のメンバーは全員女性で、それぞれいろいろな職業に就かれ、あるいはさまざまな社会的活動に取り組まれており、エネルギー溢れるNYで活き活きと活動を続けられているようにお見受けした。先方との間で、多方面の話題に花が咲き、先方当方とも、交流の雰囲気を満喫した。

 イベントの合間には、自由の女神へのクルーズに出かけ、夕刻はニューアムステルダム劇場でミュージカル「アラジン」を観た。感ずるところは多かったが、ここでそれを書くには紙幅が足りない。移動の際はウーバー利用のタクシーを用いたが、地下鉄には何度も乗車した。地下鉄は1980年代に私が経験した時よりもずっときれいになっており、私達が乗車した範囲では、東京の地下鉄とそれほど変わらないように感じた。しかし、これは時間と路線の走る地域によるのかもしれず、一般化できるかどうかよく分からない。

 自由時間には近代美術館(MOMA)に行って、ピカソがキュビズムを打ち立てた「アヴィニョンの娘たち」やゴッホの「星月夜」をじっくり見た。目当ての一つは、アンリ・ルソーの畢生の大作「夢」の実物を鑑賞することだったが、「夢」は、ピカソやゴッホやセザンヌやマチスの作品がある場所とは違うところに展示されていた。「夢」の前に立って、縦横に目を運ぶと、パソコンや画集で見るのと全く違った迫力があって、色彩の素晴らしさに圧倒される思いだった。

 かくして、ニューヨークの日々は瞬く間に過ぎていったが、私としては、動きの激しいニューヨークの町とそこに住む人々、わけても多彩な活動を展開されているNY県人会の皆さんから大きなエネルギーを頂いたように思う。我が県人会仲間の佃優子さんの積極的なリーダーシップと、宇多律子さんの沈着な行動によって、私は充実したNY滞在を経験することができて、とても感謝している。私の歳で14時間の時差を克服するのは容易ではないが、またNYに行きたいという思いが胸中に湧いていることに自ら驚いている。やはりNYは魅力にあふれる街なのだ。(2025年12月19日記)