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【年頭挨拶】 「クルマをニッポンの文化に!」 豊田章男・一般社団法人日本自動車会議所会長

2025.12.31 15:00

 新年あけましておめでとうございます。旧年中は、日本自動車会議所の活動に温かいご理解と力強いご支援を賜り、心より感謝申し上げます。

 「クルマをニッポンの文化に!」

 これは、昨年 6 月、会長に就任した時に掲げたスローガンですが、私だけではなく、自動車会議所に携わってこられた諸先輩方の積年の思いでもあると思っています。1945 年(昭和 20 年)、日本自動車会議所の前身となった自動車協議会はその設立時に「世界文化に寄与したい」と宣言し、その翌年の日本自動車会議所設立趣意書では「自動車は文化の向上に不可欠」と掲げております。

 では、クルマと文化はどのようにつながっているのでしょうか。

あたりまえですが、クルマは人やモノの「移動」を担っています。「移動すること」で、人間は、いろいろな風景、人やモノと出会い、様々な刺激の中で、心まで動かされていきます。そして、その感動が、人間の持つ創造力を呼び起こし、世の中を豊かにするとともに、「芸術」や「文化」の発展にも寄与していく。私はそのようにとらえています。

 今、私たちは、ネットの発達によって、居ながらにして、世界中を体感できるようになりました。しかし、その一方で、動いた気になっている、動くことができなくなっている、そんな感覚におそわれる時があります。また、昨今の AI をはじめとするデジタル革命によって、予想を超える急速な社会・産業の変化が引き起こされています。私自身も AI を活用しながら、その高い可能性を実感すると同時に「人間とは何かを考える」機会も増えました。大袈裟かもしれませんが、「移動すること」は「人間が生きること」そのものです。赤ちゃんが自然にハイハイし、立ち上がり、歩き始めるように、人は、自分自身の意志で、自由に移動したいという根源的な欲求を持っています。歳を重ね、足腰が衰えても、人の手を借りることなく、自分の意志で移動したいという思いは変わりません。すべての人が、いつでも自由に、行きたいところへ行けること。移動を楽しめること。それこそが、本当のモビリティ社会であり、それが実現できれば、今よりも、もっともっとアクティブにいろんなことが動き出していく。私はそう思っております。

 すでに様々な取り組みがスタートしています。

 就任早々の昨年七月に「モータースポーツ委員会」を立ち上げ、その魅力向上や運営に関わる人材育成といった諸課題の解決に向け、動き出しました。昨秋、開催されたジャパンモビリティショー2025 では、その委員会の公開会議を実施し、多くの方に現状をご理解していただく機会をつくりました。また、富士スピードウェイにおける、北米モータースポーツ文化の象徴である NASCAR を招聘した日米自動車文化交流イベントは、国内外のクルマの文化や魅力を発信する機会となりました。

こうした取り組みに加え、クルマを使用する環境の整備にも力を入れてまいりました。

 自動車業界の重要課題である税制では、自動車関係諸税の負担軽減と簡素化に向け、自動車税環境性能割は廃止となりますが、引き続き負担軽減・簡素化といった自動車税制の抜本的改革を目指し、業界の皆さんと連携しながら活動を進めてまいります。

 また、事故被害者救済などに用いる自動車損害賠償責任保険(自賠責)保険料を原資とする運用益から積み立てられた資金が、長年国の一般会計に貸し出されたままとなっていましたが、ようやく全額が一括返還されます。これまでご尽力いただいた関係者の皆様に、厚く御礼申し上げます。

 今年、日本自動車会議所は、創立80周年を迎えます。

 私たちは、さらに会員団体・企業の一体感を高め、モビリティ社会の新しい価値を創造することを目指します。80 周年を「次の時代へのスタートライン」と位置づけ、会員の皆さまとともに、「クルマをニッポンの文化にする」取り組みをさらに進めてまいります。

 最後になりましたが、会員の皆さまをはじめ、クルマに関わるすべての方々のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げ、本年もともに歩んでまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。