福知山ユナイテッドとパートーシップを締結。サッカークラブ・企業・コミュニティの共助によって「子どもたちに経済的な貧困を理由にサッカーを諦めさせない」モデル事業の構築を目指す。
日本で経済的な貧困や社会格差によるスポーツの機会格差の解消に取組む認定NPO法人love.futbol Japan(日本支部:神奈川県逗子市、理事長:加藤遼也)は、京都府福知山市の総合型スポーツクラブ 一般社団法人福知山ユナイテッド(所在地:京都府福知山市、代表理事:片野 翔大、以下「福知山ユナイテッド)とパートナーシップ契約を締結いたしました。
3年間のパートナーシップを通じて、サッカークラブ・地域の企業・地域コミュニティの共助によって「子どもたちに経済的な貧困や生活環境を理由にサッカーを諦めさせない」モデル事業の構築を目指します。また、福知山市で子どもたちが誰でも無料で格差なくボールあそびを楽しめる、ミニスポーツコートの開所も計画しています。ソフト面とハード面の両輪での協働事業を通じて、地域の子どもたちが「サッカーしたい!」と安心して世の中に伝えられる、大人たちが「伝えてくれてありがとう」とそれを肯定し応援する環境づくりを進めていきます。
【パートナーシップ締結の背景】
認定NPO法人love.futbol Japanは、2021年から日本で経済的な貧困や社会格差を理由にサッカーをしたくても諦めている、続けることが困難な小学生~高校生を対象とする活動「子どもサッカー新学期応援」を実施しています。サッカーの費用に使える奨励金5万円の給付、用具寄贈、孤独に対する心の繋がりを育てるサッカー選手との交流を提供し、これまで5年間で2400万円以上の奨励金を給付してきました。結果、45都道府県子どもたち2,100人以上に応援を受け、日本各地でサッカーを楽しみながら、個々の可能性を広げています。
一方で、支援を希望する子どもは毎年100人単位で拡大しており規模の拡大は大きな課題になっています。けれども、スポーツ界・サッカー界でこの課題に対する支援活動はほとんど増えておらず、課題に取り組む「担い手の増加」と相談できる環境が求められています。
福知山ユナイテッドの片野氏は数年前から弊会を月額寄付で応援いただくサポーターのひとりでした。今回両者の想いが合致しパートナーシップの締結に至りました。
子どもたちがサッカーをする現場レベルでの「モデル事業」を構築し、福知山市での浸透、その他地域への波及に繋げていきたいと考えています。
【パートナーシップの内容】
1. 応援制度の設立
経済的な貧困や生活環境を理由にサッカーをしたいけれど始めることができない新中学1年生の男女が、福知山ユナイテッドでサッカーを始め、続けられるよう応援制度(補助制度)の立上げ。
● 2026年度にlove.futbol Japanが年間最大4名に対する入会金・月謝等の活動費用50%相当の補助、およびサッカーを始めるために必要な用具の支援
● クラブスタッフ向けの「子どものセーフガーディング」研修の実施
● 3年間をかけてlove.futbol Japanによる拠出割合を減らし、地域の企業パートナーによって同等数の子どもを継続応援できる体制の構築
2. スポーツ版「子どもの居場所」の開所推進
● 福知山市で子どもが誰でも無料で格差なくボールあそびを楽しめるミニスポーツコートの開所に向けた連携
【福知山ユナイテッド代表理事 片野氏からのメッセージ】
「この度、認定NPO法人love.futbol Japan様とのパートナーシップを締結させて頂きました。個人的にも、サッカーで育った1人として以前よりこの活動に共感し、個人サポートをしておりました。そのような中、加藤代表とのご縁を頂くことができ、ユナイテッドの活動にもご興味をお持ちくださることが出来ました。
部活動地域展開の1つの課題として、「機会、環境の平等性」があります。生活困窮者や移動負担によって機会が失われることのないように、クラブの方針としても「子どもたちの選択肢づくり」を大事にしてきました。love.futbol Japan様とのパートナーシップが日本中の部活動地域展開に関わる、また地域クラブに関わる方にとっての新たな一歩になると信じて、ご一緒させて頂くこととなりました。これから、どうぞ宜しくお願いいたします」
【love.futbol Japan代表 加藤のメッセージ】
「福知山ユナイテッドとのパートナーシップは、私たちの取組みにおいて大きな一歩となります。
これまでの活動を通じて、子どもたちが日常的に関わるサッカーの現場において、安心して相談でき、信頼できる大人や環境の必要性が年々高まっていることを強く認識してきました。
多くの人にとっては当たり前である「サッカーをしたい」という思いを、さまざまな背景から自ら声に出せない子どもたちがいます。子どもたちが自身の気持ちや将来の夢を語るためには、その言葉を受け止め、理解しようとする大人たちの存在が不可欠です。才能や競技力だけでなく、子どもたち一人ひとりの「好き」という気持ちを地域コミュニティで支えていくことは、関係性が希薄化する現代社会において、子どもたちの居場所を守ることにつながります。
今回の福知山ユナイテッドとのパートナーシップは、その実現に向けた重要な基盤となるものです」
<一般社団法人福知山ユナイテッド>
福知山ユナイテッドは、京都府福知山市を拠点とする総合型地域スポーツクラブです。現在バスケットボールやサッカー、ソフトテニスをはじめ、全14カテゴリのチーム/スクールを運営し、幼児から中学生まで約350人の子どもたちが所属する地域スポーツの受け皿となっています。2023年4月より京都府福知山市の中学部活動改革の推進を担っており、2025年7月からは部活動地域展開運営業務を受託し、行政と連携して学校部活動の環境改善に全国でも先進的に取り組んでいます。
https://fukuchiyama-united.club/
<経済的な貧困等によるサッカーの機会格差の現状について>
弊会に支援を求める子ども人数は毎年100人規模で拡大しています。ここ数年は物価高の影響があり、規模はこの4年間で5倍に増加し、今年は1ヶ月間で520人を超えました。受益世帯のうち60%が世帯年収が200万円以下、33%の世帯が子どもがサッカーをするために借入をしたことがあると回答するなど深刻な状況が確認されています。さらには、約40%の子どもが家計を心配してサッカーを辞めると家族に伝えた経験があり、子ども自身が頼れる環境、相談環境また必要とされています。
一般的に、スポーツは贅沢や趣味として見られやすいため、子どもの機会格差問題においてスポーツの支援は、教育や食等の生活インフラの支援に比べて優先度が下がる傾向にあります。そのため、当事者は困っていても声を上げづらい状況が続いており、社会のなかで子どもに対するスポーツ機会の「理解」を高める必要性があります。
支援を求める規模は拡大しさまざまな課題が顕在化する一方で、日本サッカー界に支援体制は十分に整っていません。子どもたちを支える環境づくりに向けた仲間と仕組みづくりが今まさに必要とされています。