地域おこし協力隊 卒業まであと1ヶ月 〜私と協力隊〜【後編】
知覧茶イベント「隣のお茶は、青い」ちょっとした裏話
連続記事を書いています。
地域おこし協力隊での活動総まとめ、今回は【後編】。
前回の記事はこちら ↓
茶業専門の課への異動をしたのが、2018年10月のこと。
そこから卒業までの半年間のカウントダウンが始まった。
異動前から少し動きはじめていたプロジェクトがあった。
それは、「隣のお茶は、青い」という知覧茶のクローズドイベントの企画運営である。
このイベント、簡単にいうと「お見合いイベント」である。
茶業のプロの方たちに”知覧茶に惚れてもらおう”というプロジェクトであって、知覧茶という”女性”をいかに輝かせるか、が勝負。
なので、知覧茶を美しく魅せるためにはプロの「デザイン」の力が必要で、
今回イベントをつくるにあたっては、同じく地域おこし協力隊でもあるデザイナーの仲間に助けを求めた。
そもそも、知覧茶の中身のポテンシャルはスゴイ。
中身を知れば、誰もが惚れてくれるだろう、と思う。(ここには自信がある。)
それゆえに、そのポテンシャルを体感してもらうことが一番重要であって、
体感するまでに、最大限に気持ちを高めることが重要。
素敵な空間においてちょっとだけ良い意味で”酔う”ことも大事なのかも、と思っていた。
こうして、ちょっと”ほろ酔い”できそうな、ステキ空間は、茶産地に移住をしてきたデザイナーたちの手で創り上げられた。茶の枝をふんだんにつかった空間づくりは、来場者のみなさんのハートをぐっとつかんだ、(と勝手に思っている。笑)
そしてハートをつかむ秘密兵器「プレミアム冊子」もつくってもらい、
初めて知覧茶のプロ向けの冊子を整えることができた。
2月18日に東京・原宿で実施したイベント。その内容は、いたってシンプル。
生産者のトークイベントの後、みんなで交流、そして知覧茶の試飲。
消費地から遠く離れた土地で暮らす「生産者」と、東京で第一線を走る、日本茶界の「ニューリーダー」の方たちとが交流することで、はじめてスタート地点に立てると信じていた。
今回、ご招待したのは日本茶カフェやレストランを営むオーナーさんたち12組。
「生産者さんの話は面白い」「今まで持っていた素朴な疑問が解決できた!」
と、生産者との交流を通して、”学び”を得られたという感想を多数いただいた。
「生産者が語る言葉の力はすごい。」
改めてそう感じさせられた。魅力の源はここだったんだ、と。
過去に多種多様なイベントを企画運営してきたが、今回ほど時間をかけたイベントはない。
加えて、普段は一人で考え、壁にぶつかっても相談できる相手もいないのだが、
今回は、いつも「仲間」がいた。
自分ひとりでできることなんて、せいぜい知れてるな、と思うのだ。
着想して設計して、そしてコーディネート(調整)して…、形にはなかなか残らない。
でも、仲間の力があれば「形に残すこと」ができる。なんてステキなんだろう。
行政事業を担いながら、民間手法で、地域の仲間たちと、理想とする形をつくることができた。
過去に失敗事例といわれた協力隊が、ほんの少し光を浴びた瞬間だったと思う。
全国で色々と語られる「地域おこし協力隊」。
前編でも書いたが、私は異例の「行政どっぷり協力隊」だった。
卒業前に取り組んだこのイベントは、
行政案件を民間手法でトライすることができた、これが最初で最後の、
そして私にとっては唯一無二の協力隊としての成果だった。
タイミング、場所、そして仲間…色々と条件が合致した結果だったと思う。
何度もいうが、ひとりではなし得ないことだった。
そんな、ひとりでは”微力”な私が、協力隊を卒業して、
この道で独立をすることになった。
やりたいこと、想いは十分。でも、そうそう無理はできない身体であるゆえに、
まずは農家さんの「ウラカタ」から、腰を据えてじっくりやってみようと思う。
裏と表と両方の世界を行き来しながら、
ちょっとずつ新しい事業にも取り組みたいと思っている。
特に目新しいわけでも、斬新なわけではない。
でも、他の業界では当たり前にできていることが、まだ整えられていないのが茶業界。
少しは私の異業種の視点が役に立つかもしれない。
大したことじゃない、ちょっとした事業。
それでいい、それがいい。
背伸びしすぎない、無理しすぎないスタイルで、ぼちぼちと歩いていきたい。