「宇田川源流」 「発表!2025年読者が選んだ『海外』10大ニュース」より
「宇田川源流」 「発表!2025年読者が選んだ『海外』10大ニュース」より
今年もこの季節になった。今日と明日は、毎年年末恒例の読売新聞の「10大ニュース」の内容を見て、今年を振り返ろうという企画である。一応、読売新聞社の知り合いには、こんなことをやっているということを伝えてあり、とくにおとがめも何もなく、まあ、「黙認」というような感じになっているので、現在も毎年行っている。
昨日は「日本のニュース」を見てきたが、今回は「海外」のニュースである。
さて、今年の海外のニュースの主役は何といってもアメリカのトランプ大統領であろう。日本は安倍晋三元首相(故人)がうまく日米外交をしていたが、残念ながら亡くなってしまっている。では「シンゾー亡き後の日米関係はどうなるのか」ということ、そしてトランプ大統領がどのように動くのかということが非常に大きな興味になったのではないか。ロシアのウクライナ侵攻は3年目そしてイスラエルのガザ侵攻は2年目となり、世界が不安定化する中での、海外の10大ニュースはこうなったのである。
<参考記事>
発表!2025年読者が選んだ海外10大ニュース
2025/12/19 05:20 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/feature/top10news/20251218-GYT8T00228/
<以上参考記事>
まずはベスト20を見てみよう。
1位 第47代米大統領にトランプ氏が就任 13,688(86.8%)
2位 中国、高市首相答弁に反発 渡航自粛呼びかけ 10,391(65.9%)
3位 米が相互関税発表 日本24% 中国34% 10,312(65.4%)
4位 ロサンゼルスで山火事 8,342(52.9%)
5位 ルーブル美術館で盗難 被害約8800万ユーロ 8,113(51.4%)
6位 ミャンマーでM7.7の地震。3700人以上死亡 7,788(49.4%)
7位 ウクライナ侵略3年、トランプ氏はゼレンスキー大統領を罵倒 6,745(42.8%)
8位 初の米国出身 新教皇レオ14世 6,196(39.3%)
9位 韓国の尹大統領逮捕 現職で初 6,195(39.3%)
10位 旧統一教会総裁を逮捕 5,197(33.0%)
11位 トランプ氏と習近平国家主席が6年ぶりに対面会談 4,618(29.3%)
12位 米イスラエル、イラン核施設をそれぞれ空爆 4,588(29.1%)
13位 大相撲のロンドン公演 34年ぶり 4,245(26.9%)
14位 ガザ和平計画「第1段階」合意 4,016(25.5%)
15位 中露朝首脳が北京で軍事パレードを参観 3,567(22.6%)
16位 韓国大統領選で李在明氏勝利 3,414(21.7%)
17位 インド旅客機墜落 死者200人超 3,286(20.8%)
18位 米がハーバード大の留学生受け入れ停止発表 3,242(20.6%)
19位 米露首脳、アラスカで対面会談 停戦合意至らず 3,020(19.2%)
20位 英仏カナダがパレスチナを国家承認 2,714(17.2%)
何しろトランプ大統領関係が「トランプ就任」(1位)、「トランプ関税」(3位)、「ウクライナ戦争仲介」(7位)、「米中首脳会談」(11位)、「イラン核施設空爆」(12位)、「ガザ和平計画」(14位)、「ハーバード大学の留学生受け入れ停止」(18位)、「アラスカで米ロ首脳会談」(19位)と20位までに8個もアメリカというかトランプ大統領の政治に関するニュースがあるのですから、その影響力は絶大であるということが言えましょう。そして、安倍晋三首相であればこれらに介入して、トランプ大統領をうまく動かしたであろうが、残念ながら石破茂首相では役不足というか、日米関係はかえって悪化していったのではないかという気がします。日米関係が完全に悪化してしまう前に石破首相が退陣したことは日本にとっては、少なくとも日米関係という点ではよかったと思うが、しかし、ある意味で遅きに失したということではないか。しかし、石破氏本人は、今もその自覚がないということが全くおかしな話です。
さて、とにかくアメリカの1年であったといううかトランプの1年であったというべきで煽る。上記のトランプ関連のほかにも、ロスアンゼルスの火事と、新しいローマ教皇がアメリカ出身dねあるということも、大きなニュースではないか。その様に考えればアメリカを中心にした1年であったということになります。
この米国の変化と連動するかたちで、中国を軸とする権威主義国家の動きも一層目立つ一年でした。中国が日本の高市首相の答弁に強く反発し、渡航自粛を呼びかけたことは、外交問題が直ちに国民生活や人的往来に影響する時代に入ったことを示しています。また、中露朝の首脳が北京で軍事パレードを参観した光景は、冷戦後の「価値観外交」の時代が終わり、勢力圏を誇示する古典的な大国政治が復活していることを印象づけました。
安全保障の分野では、戦争と武力行使が「例外」ではなく「常態」に近づいた一年でもありました。ウクライナ侵略から3年を迎えても停戦の糸口は見えず、トランプ大統領がゼレンスキー大統領を公然と罵倒したことは、被侵略国への道義的支援が米国政治の優先事項ではなくなったことを示唆しています。さらに、米国とイスラエルによるイラン核施設空爆は、中東における緊張が核問題と結びつき、局地紛争が一気に国際危機へと転化しうる状況にあることを世界に示しました。
その一方で、ガザ和平計画の「第1段階」合意や、英仏カナダによるパレスチナ国家承認は、武力だけでは解決できないという国際社会の模索も確かに存在していることを示しています。ただし、これらの動きはまだ限定的で、軍事的現実を覆すまでには至っていません。今年は「和平への意思はあるが、それを支える力と合意が圧倒的に不足している」状況が浮き彫りになった年でもありました。
政治体制の不安定化も今年の大きな特徴です。韓国では現職大統領の逮捕、そして大統領選での政権交代が相次ぎ、民主主義国家であっても政治的混乱が避けられない時代に入ったことを示しました。米国ではハーバード大学の留学生受け入れ停止発表のように、学術や人の移動が安全保障や政治論争の対象となり、開放性が急速に後退しています。
自然災害や事故もまた、今年の世界の不安定さを象徴しています。ロサンゼルスの大規模山火事やミャンマーのM7.7の地震で3700人以上が亡くなったことは、気候変動やインフラの脆弱性が、国家の体制や貧富の差を超えて人命に直結する問題であることを改めて示しました。インドの旅客機墜落事故も含め、グローバル化した社会では一国の災害や事故が即座に世界的な関心事となります。
文化や宗教の分野では、ローマ教皇に初の米国出身者であるレオ14世が就任したことが象徴的です。これは、キリスト教世界の重心が欧州からアメリカ、さらにはグローバルサウスへと移りつつある現実を反映しています。また、大相撲のロンドン公演が34年ぶりに行われたことは、緊張と対立が続く国際社会においても、文化交流が細く長く続いていることを示す明るい側面でした。
最後に、ルーブル美術館での高額盗難事件は、文化財や象徴的価値を持つものが、混乱の時代において新たな「争奪の対象」となりつつあることを示しています。これは単なる犯罪ではなく、秩序の緩みを映す鏡とも言えるでしょう。
総じて2025年は、アメリカの方向転換を起点に、国際秩序の不安定化、武力行使の常態化、政治と経済の分断、そしてそれに抗おうとする限定的な和平努力が同時進行した一年でした。希望と不安が併存する中で、世界は「次の枠組み」をまだ見いだせないまま、過渡期を彷徨っているそんなせかいがみえてい北野ではないでしょうか。