にゃんにゃん探偵チャーリーの冒険 ~Love and Cats・最終章~
世の中には、洞窟のような場所がいくつもあります。暗いのに、なぜか人間はそこに集まりたがります。
今年もまた、多くのものが「見えないまま」でした。黒塗りの書類、不透明な金の流れ、責任の所在がぼやけた言葉たち。光はあるはずなのに、わざわざ影の方を選んで歩いているようにも見えます。
人間とは不思議な生き物です。真実よりも納得しやすい説明を好み、都合のいい答えに安心する。洞窟の壁に映る影を「現実」と思い込むプラトンの比喩は、今の社会そのものです。エコーチェンバーというバブルの中で、勇ましい言葉やデマ、作られた世論に踊らされ、全体主義の足音にさえ無感覚になっていく。しかし、本質を直観しようと意識すれば、影に惑わされることはないはずです。
本当に恐ろしいのは、見えているのに「見ていないふり」をすることではないでしょうか。小さくてもいいから、声を上げ続けなければ、世界は大切なものを失ってしまいます。言論の自由が失われ、徴兵制などが発動され、軍靴の音が間近に迫ってからでは、もう手遅れなのです。
人間社会は、ときどき深い迷宮に似ています。出口がすぐそこにあるのに、なぜか皆、不安から逃れるように奥へ奥へと入りたがる。
それでも、洞窟の外には必ず朝があります。光は劇的に世界を変えはしませんが、少なくとも足元を照らしてくれます。これまでの間違いを認め、受け入れることで、新しい羅針盤は見えてくるはずです。
猫の目から見れば、暗闇はそれほど怖いものではありません。目が慣れれば形はわかるし、危ないものは匂いで察知できる。暗い場所に長居するより、さっさと日向を探す方がよほど賢明です。新しい年は、きっとそのくらいの単純さから始まるのだと思います。あっ、どうも岩崎(チャーリーの飼い主)です。