本堂内陣の彫刻が完成しました
今年も残すところわずか。
今年一年は、会館バリアフリー床暖房、パノラマビューとブラインド設置、位牌堂回廊、本堂照明工事など、各所の改葬やリノベーションを進めてきました。最後の仕上げとなる本堂内陣の彫刻工事が12/26に完成しました。
今回のお仕事は、昭和53年に本堂の建築を手掛けていただいた地元宮大工の工匠店八木沢様によるもの。画像右の熟練の職人さんである石井さんの手ほどきを受けて、画像左の若手の職人さんである瀧さんが手掛けてくださいました。
本堂の照明はオーデリックの照明システムを導入し、梁上のライン照明や彫刻を浮かび上がらせるスポット照明、天候や時間帯によって自由に明るさや温度を変えられるシンクロ調光ダウンライトが導入されました。
本堂大間にはこれまで幕がかけられていましたが、それらを全て外すと、これまで隠れていた立派な天女の一木造りの彫刻が出てきました。その裏には本堂建築時の棟梁と彫刻師の名前がしっかりと刻まれており、スポットライトで照らすことにしました。
あまりに立派な彫刻が存在感を増したことで、内陣・須弥壇周辺の意匠が負けてしまうような感じも否めないことから、今回の工事を追加で発注しました。正面のご本尊様と左右の達磨大師(仏教をインドから中国に伝える)と大現修利菩薩(お寺を守る伽藍神)の下部分に上部と同じ意匠の欅材を設置。間接照明の光源や無線LAN端末を隠すという目的もありました。慎重に高さを調整してバランスをとりました。
発注から2ヶ月。11月には彫刻の下地が完成したので現場で位置や塗装の色確認が行われました。ちなみにこの時点で仏像の前に垂れている御簾が新品に交換されました。
12月26日、年内最後の仕事にて無事に工事が完了しました。
照明も新しく、御簾も新品となり、仏像の土台を支える部分に繊細かつ質実剛健なる彫刻が施されました。これまでとは異なり、どっしりとした安定感のある中に仏像が祀られている雰囲気の中、光背のように明るく照らし出される壁面照明がやわらかく空間を演出しています。
何度も微調整と試行錯誤を繰り返した部分ですが、いよいよ完成です。
お寺の仕事は、50年、100年と歴史に残る仕事です。その場所の持つ力を引き出す宮大工さんの技は、後世に伝えたい大切な宝物だと思います。本堂の内陣で相対する先人の彫刻の技と、新たな若き躍動感溢れる力強い仕事。このような歴史を通貫していく美や信仰の中で、寺社仏閣には見えない力や心が宿るのでしょう。
石井さん、瀧さん、工匠店八木沢さん、この度は誠にありがとうございました。多くの人を迎える場所として、大切に守ってまいります。
お参りの際はぜひお近くでご覧ください。
深みと曲線の美しさ、躍動感、手に触れると木の優しい温もりが伝わってきます。
安洞院住職 横山俊顕