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Art of Being|言葉と意識が生まれる場所

「恐れ」から「あり方」へ:問いの根っこを見つめ直す

2025.12.30 01:00

先日のALL EARS対話力講座で、「恐れ」から「あり方」へと問いを育てる考え方について探究しました。

多くの方が、日常のほとんどは恐怖や失敗を避けようとする視点から物事を見ています。だからこそ、これをどう教えればいいのか、言語化が難しいテーマでした。そこで、受講者の方に実例を挙げていただき、私が問いを育てながら「あり方の問い」へと導いていく様子をお見せできました。

後から、このレッスンをもとにAIに記事を作成してもらったところ、私が説明しきれなかったプロセスが明確になりました。そうして生まれたのが、この記事です。


あなたの問いは、どこから生まれていますか?

私たちの内側から湧き上がる問いには、必ず「根っこ」があります。その根っこが、失敗を避けたいという「恐れ」に基づいているのか、それとも自分自身の「あり方」に根差しているのか。この違いによって、問いが導く未来の風景は全く変わってきます。

ここでは、講座で扱った二つの事例を通じて、この転換の本質を探っていきます。


1. 友人への言葉:「正しさ」を超えた共感

大切な人が深い苦しみを打ち明けてくれたとき、私たちはしばしば言葉を失います。

ある女性が、親しい友人との会話で経験した戸惑いを話してくれました。その友人は長年、大きな責任を一人で背負い続けてきましたが、最近その一部を手放す決断をしたと言います。それによって自分のための時間が持てるようになったと。彼女は友人の苦労を思い胸が詰まりましたが、どう反応すればいいのか分からず、ただ相槌を打つことしかできませんでした。

「恐れの問い」の正体

この沈黙の根源には、「軽い言葉をかけてはいけない」「わかったふりなどできない」という恐怖心がありました。友人の経験を軽んじてしまうのではないかという恐れが、「本当に良かったね」という言葉さえ躊躇させたのです。結果として、「正しい答え」を探すあまり、表面的な反応に留まってしまいました。


「あり方」への転換

真の共感とは、正しい答えを探すことではありません。相手の心に寄り添う「あり方」へと意識をシフトさせることです。

友人が下した決断の重さと、そこに至るまでの葛藤を承認する言葉。「本当にたくさん考えて、ようやく決断できたんですね」「ご自身にとって良い選択ができて、本当に良かったですね」。こうした言葉は、結果を評価するのではなく、相手の選択そのものを尊重し、その勇気を称えるものです。

また、そうした決断には罪悪感が伴っているかもしれません。「簡単な決断ではなかったでしょう、きっとたくさんの葛藤があったはず」と、見えない心の痛みに寄り添う姿勢が、真の共感を生みます。


2. 家族との関係:「存在価値」の証明から自由になる

家族は最も身近で安心できる場所であると同時に、「自分の居場所」や「存在価値」をめぐる根源的な不安が生じやすい場所でもあります。

ある女性が打ち明けてくれた悩み。沈黙が怖くてつい無意味な会話を振ってしまうこと。そして、家族が自分に相談なく大切な物事を決めてしまい、深い疎外感を覚えてしまうこと。


二段階の「恐れの問い」

表面的には「気まずい雰囲気への恐怖」。しかしより深刻なのは、「私はこの家族に必要なのだろうか?」という根源的な問いでした。これは、他者からの行動(相談される、共有される)によって、自らの存在を許可してもらおうとする心の表れです。自分の価値が他者の反応に委ねられているため、常に不安と隣り合わせになってしまいます。


「あり方」への移行

この恐怖から解放される鍵は、視点の転換にありました。

これまでのゴールは「自分に相談してほしい」という承認欲求を満たすことでした。しかし、もしゴールを「家族が、それぞれの人生にとって最善の決断ができたこと」へと変更したらどうでしょうか。誰に相談したか、自分に報告があったかは問題ではなくなり、ただ家族の幸せな決断そのものを祝福できるようになります。疎外感は感謝と喜びに昇華され、心は穏やかさを取り戻します。


結論:問いを変え、未来を描き直す

この二つの物語に共通するのは、「恐れから生まれた問い」が私たちを縛りつけ、「あり方に基づいた問い」が私たちを解放するという真実です。

この転換の本質は、他者の反応や外部の状況をコントロールしようとする恐れから、自分がこの瞬間にどうありたいか、という内なる指針に意識を向けることへのシフトです。

正しい答えを探すのではなく、温かい眼差しを選ぶ。

承認を求めるのではなく、ただ相手の幸せを願う。

この小さな意識の変化が、人間関係の質を、そして人生の質そのものを根底から変えていく力を持つのです。


最後に、あなた自身に問いかけてみてください。

あなたが今、心の中に抱えている問いは何ですか? その根っこは、「恐れ」にありますか? それとも、あなたの「あり方」にありますか?

答えを探す必要はありません。ただ、自分の問いの根源に静かに光を当てること。それ自体が、より豊かで穏やかな未来を描き直すための、確かな第一歩となるでしょう。