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未踏の頂へ、その先へ

2025.12.16 07:22

高柳 傑 トークイベント開催レポート

先日、OUTING PRODUCT ELK 店内にて、

山梨在住の山岳写真家・アルパインクライマー 高柳 傑(たかやなぎ すぐる)さん をお迎えし、スペシャルトークイベントを開催しました。


会場に集まったのは、登山経験者だけではありません。

写真が好きな方、冒険の話に惹かれて来てくださった方、

そして「山の世界を、もう少し深く知りたい」という方々。

その空気は、始まる前から静かに張りつめていました。


パンドラ──未踏ルートから頂へ

トークの中心となったのは、

2024年秋に挑んだ、ネパール・ヒマラヤ奥地の未踏峰「パンドラ」 への遠征。


人の踏み入った痕跡がないルート。

垂直に切り立つ岩壁。

一歩の判断が、そのまま生死に直結する世界。


高柳さんの語りは、

「すごい挑戦だった」という言葉に回収されるものではなく、

そこに至るまでの準備、迷い、決断、そして撤退も含めた

“プロセスそのもの” に重心が置かれていました。


写真に写るのは山ですが、

語られていたのは、人が極限でどう在るか、という問いでした。

写真が語る、言葉のいらない時間


会場には、高柳さん初の単独写真集

『Surface of PANDRA パンドラへ到る』 が並びました。


岩の質感、雪の重さ、光と影。

説明がなくても、ページをめくるだけで

ヒマラヤの空気が伝わってくる写真集です。


サイン会では、一冊一冊に言葉を添えながら、

来場者と静かに会話を交わす姿が印象的でした。

次なる未踏峰へ──2025年の構想

トーク後半では、

次の遠征 未踏峰「バインダーブラック・ウエストⅠ」 についても触れられました。


なぜ、まだ名前すら知られていない山を目指すのか。

なぜ、困難を承知で未踏にこだわるのか。


その答えは、

「達成」や「記録」よりも、

“山と正面から向き合うこと” にありました。


会場からの質問も多く、

聞く側もまた、この旅の一部になっていたように感じます。


Haglöfs POP UPと、場の力

本イベントは、

Haglöfs(ホグロフス)のPOP UPイベントと同時開催となりました。

装備やプロダクトの背景に、「実際に使い、命を預ける人の言葉」が重なることで、

モノと物語が自然につながる時間になりました。


エルクという場所で、語られる意味

エルクは、単に道具を選ぶ場所ではなく、山に関わる人の経験が交差する場所でありたいと考えています。

誰かの挑戦が、誰かの一歩を後押しする。

今回の高柳 傑さんのトークは、まさにその瞬間を、店内につくってくれました。

ご参加いただいた皆さま、

そして貴重な時間を共有してくださった高柳さんに、心より感謝いたします。