【連載】(タイトル未定)#2-4
※こちらは、超絶遅筆な管理人が、せめてイベントに参加する毎には更新しようという、
雨垂れ石を穿つ精神で投稿する長編(になる予定の)連載ページです。
状況により、過去投稿分も随時加筆修正予定。
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町の中程にある宿で適当に食事を頼んだラファは、「まずはゆっくりしてくれ」と言ってそのまま出ていった。さすがに、性急に話を進める気はないらしい。
「ま、それくらいの気遣いはあって然るべきだな」
「フレイ、なに怒ってるの? あの人のこと、何か気に障ることでもあるの?」
「別に怒ってねぇよ。気になることはいろいろあるけどな」
その気になること、というのを訊ねようとしたが、ちょうどラファが戻ってきた。
「改めて、礼を言う。時間を取らせてすまない。早速だが……」
「その前に、おまえ。まずその口調をやめろ」
「え?」
「あ、気にしないでください。フレイは堅苦しいの、苦手なんです」
話を遮られてラファが怪訝な顔をしたので、ルークが補足するように言い添える。が、フレイは渋面のままルークをひと睨みすると、頬杖をついてラファに向き直った。
「俺が苦手だからじゃねぇよ。おまえのそれ、だいぶ無理した話し方だろ。俺からすると違和感しかねぇからな、普通でいい」
ルークには、その言葉の意味はわからなかった。が、ラファの表情が見る間に歪む。
「……どうして、わかったんですか」
「加護持ちだ、って自分で言ったんだろうが。まぁ、言われなくてもすぐわかるけどよ」
「フレイ、どういうこと」
会話についていけないルークに、視線はラファに向けたまま、フレイは答えた。
「さっき言ったろ。加護持ちは、そうでない者と成長の速度が異なる。こいつは少し早い方。たぶん、おまえより年下だろう」
フレイも、ルークの正確な歳は知らない。が、彼の見た目は15~6歳ほどの少年だ。
ラファはそれと同じか、少し上のように見えるが、魔力の練度や、ラファ自身に蓄積された時の長さに、見た目との絶妙な差異がある。それをフレイは、初めて声をかけられた時から気付いていた。
「年長者の真似をしようとしてるんだろうが、やめとけ。見た目がどうあれ、生きてきた時の長さってのはごまかしようがねぇ。俺みたいなのが相手なら、尚更な」
「……さすが、です。やっぱり強い力を持つ人は、違うんですね」
僅かに俯いたラファの声に、先程の鋭さはなかった。やがて顔を上げ、二人を交互に見ながら話し始める。
「フレイさん。ルークさん。さっきは大声で呼び止めて、ごめんなさい。私、困っていて。助けてくれませんか」
口調を改めたラファに、フレイは少し、表情を和らげて言った。
「聞くだけ聞いてやる。話してみろ」