絵本『字のないはがき』
2026.08.09 00:00
この絵本の作者向田邦子さんが亡くなったのは私が中学生の頃、台湾での航空機事故でもうエッセイが読めなくなるんだと悲報に衝撃を受けたのを思い出します。そんな彼女のエッセイをもとに描かれたのがこの絵本『字のないはがき』です。
第二次世界大戦を経験した向田邦子さんの一番下の妹さんが疎開する時に、お父さんが持たせた多くの葉書の話です。宛名書きを全てに行ったお父さんは、疎開をするまだ字の書けない妹さんにこう畳み掛けます。「元気な時には、毎日はがきに丸をかいて毎日出すように」と。
初めてのはがきには大きな赤い丸が、しかし次の日から丸は鉛筆で段々と小さくなり、とうとうハガキには・・・
向田さんの一番有名なエッセイ集『父の詫び状』に登場するお父さんのイメージからは想像できないお父さんの愛情溢れる姿に胸に込み上げてくる感情と親としての深い思いと知恵にハッとさせられました。
8月15日の終戦記念日に惨たらしい戦争描写ではなく、戦時下の生活状況が伝わり、親が子供を慈しみ守りたいという強い感情をこの絵本で感じていただきたい作品です。今週末は終戦記念日、世界情勢も日本国内でも変化を感じる昨今に今一度、子供達に平和を残すこととは何かを考えていただければと思います。