Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

おうちカフェ さんちゃん

寒さを享受しながら

2026.01.04 20:10

水上勉(1919年~2004年)の自伝的小説に『凍(い)てる庭』(1975年)というのがあります。舞台は、戦後間もなくの浦和(現さいたま市)です。中学生のとき、この作品を読みました。浦和は私の故郷です。「僕が生まれる僅か10年前の浦和は、こんなだったんだ」と驚いたのを覚えています。内容を簡単に紹介します。

『戦後の浦和、旧市街や調(つき)神社周辺の街並みを舞台に、極貧の父が一人娘・蕗代を育てながら生き抜く姿が描かれる。妻に去られ、職を転々としながら、父は娘を守るために日々奮闘する。商店街や路地、神社境内など日常の風景が描かれる中で、屈辱や孤独と戦いながらも、蕗(ふき)の芽のように逆境に負けず生きる父と娘の絆が美しい。戦後の社会の厳しさと日常の小さな希望を繊細に描かれる』

厳しい冬に芽を出す蕗の姿が、逆境に負けず生きる父と娘の姿の象徴として繰り返されていました。凍てつく庭は、戦後の困窮や孤独を象徴するとともに、希望の芽が芽吹く舞台でもあります。この物語は、浦和の旧市街や調神社周辺の街並み、戦後の混乱期の生活、日常の細やかな描写を通して、主人公と娘の生き抜く姿をリアルに描いています。

1月2日は、浦和で50年来の幼なじみたちと浦和駅前で新年会でした。その前に、この小説の舞台を歩いてみました。小説に出てくる蕗は、たくましい植物です。「今年も辛いことがあっても、頑張るぞ!」と、私と同じく歳を重ねてきた旧友たちの顔を見ながら、心を新たにしました。「さあ、帰ろう」とお店を出ると、この冬初めての雪が積もっていました。『凍てる庭』という言葉が浮かびました。

今日の写真は、小説の舞台になった調神社の入口にある、狛犬ではなく、狛兎(うさぎ)です。とても珍しい彫物です。「可愛いなあ」と思いました。

#水上勉#凍てる庭#浦和#さいたま市#蕗#戦後#自伝的小説#親子#切り絵#おうちカフェさんちゃん#おうちカフェ#小さいカフェ#柏市