第23回福井読書会 :『オリンピア』読書会レポート
新年あけましておめでとうございます。
昨年、福井読書会は4回開催し、多くの方にご参加いただけましたこと、あらためて御礼申し上げます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、昨年の3月に開催した読書会の様子を、随分遅くなってしまいましたがこちらに記しておきたいと思います。
「一生読んでいく本」
そう言えるような本との出会いって、人生の中でどれぐらいあるものでしょうか。
2025年3月15日、訳者の越前敏弥さんをお迎えし、デニス・ボックの『オリンピア』(北烏山編集室)を課題書に、福井読書会は開催されました。
今回は課題書がミステリーではなく文芸作品ということで、普段とは違う雰囲気になるのではと、少々不安を抱えながら当日を迎えました。
けれどもそんな不安は全くの杞憂でしかなく、むしろいつも以上に盛り上がりましたので、参加者の皆さんからのご感想やご意見の一部を紹介したいと思います。
・突然理解できない描写が出てくることもあり、2行読んでは3行戻るといったことを繰り返しながら慎重に読んだ。
・32ページは衝撃だった!
・主人公の一人称だけど、日本文学のように心情が描かれていないので三人称のように感じる。
・出会えてよかった。どこがとは言葉にできないけど、とにかく大好きな作品。
・主人公と重なるような経験があり、冷静に読むことができなかった。
・読書会直前に2日で読んだけど、もっとじっくりと読むべき本だった。
・この先、何度も読みたくなる作品。
・困難で危機的状況が続くなか、家族の親愛の情が描かれている様子が良かった。
・一人称なのに客観的で映像的。映画に近いカメラワークを感じた。
・心理描写が無いので入り込みづらく、家族の辿る運命は読み進めるのが辛かった。
・静かな物語だけれど、驚きの連続。
・兄妹の関係性が良かった。
やはり32ページで描かれる出来事に「え?!」となったという方が多かったです。
思わず少し前に戻って読み返したという方も多く、32ページ以外でもそういった「読み返し」を何度も行いながら読み進めたという方も多かったです。
一方で、殺人が起きない作品を普段は読まないのでどう読んでいいか分からなかったとか、各章の最初に挿入されるお話が頭に入ってこないので読み飛ばしてもいいかもと思った、なんて率直にお話しされる方も(笑)
さて、本書は読んでいると不思議に思えたり疑問に思ったりする場面や描写も多いことに気づきます。読んだ皆さんがその辺りをどのように感じ、想像し、そしてどう考えたのかが気になっていました。
読書会で皆さんの意見をお聞きすると、最初はよく分からなかった部分も読み返してみてはじめて理解した、再読で違う解釈をしたなど、読み手によって受け止め方が違うというのは、聞いていてよく分かりました。
実際、思いもよらない解釈を聞くことができたりもして、そういう意味でも何度も読み返したくなる本であり、また、読書会にぴったりな作品だったと思います。
そんな中で、冒頭にも記しましたように、「この先、一生読んでいく本」、「何度も読み返したい本」と語った方も。
この読書会がそういった本の出会いの場となったことが何より嬉しく、そんな作品を紹介し、こういう機会を設けてくださった越前さん、そして出版してくださった北烏山編集室さんに感謝、感謝です。
越前さんが惚れ込み、持ち込みにより念願かなって出版された本書。
是非手に取って、そして読んだ方と感想を語り合って欲しい一冊です。
福井読書会世話人 藤沢一弘