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「宇田川源流」【現代陰謀説】 “ポケット突っ込み局長”中国の宣伝戦の限界

2026.01.08 22:00

「宇田川源流」【現代陰謀説】 “ポケット突っ込み局長”中国の宣伝戦の限界


 毎週金曜日は「現代陰謀説」をお届けしている。現代に仕掛けられる「陰謀」をこの連載の中で明らかに市、その中から学べる内容を学ぼうという規格である。今回は「宣伝戦」という内容である。宣伝というのはそもそも「宣伝を見た人に訴えて、その宣伝にかかれた内容に対する心理的な誘導をする」ということになっている。何かを見て「買いたくなる」というのはまさに「購買層に対して宣伝を行うことによって購入意欲を誘導する」ということになる。これを国家間で使うとどうなるのであろうか。

外交を使った「宣伝戦」とは、軍事力や経済制裁のような直接的な強制手段ではなく、言葉・象徴・制度・国際的な立場を通じて、相手国や国際世論の認識そのものを自国に有利な方向へ誘導しようとする行為です。これは単なる広報活動ではなく、国家の行動を正当化し、相手の行動を疑問視させ、最終的には国際社会の「常識」や「前提」を書き換えることを目的としています。宣伝戦は、外交交渉、公式声明、国際機関での発言、首脳会談の演出、メディア露出、さらには学術交流や文化事業までを含む、極めて広範な活動の積み重ねとして行われます。

 一般論としての外交宣伝戦の本質は、「事実そのもの」を争うというより、「事実の解釈の枠組み」を握ることにあります。多くの場合、国際問題は白黒が明確に分かれるものではなく、歴史、法、価値観が複雑に絡み合っています。そこに対して、自国に都合のよい物語を一貫して提示し続けることで、「そういう見方ももっともだ」「完全に否定はできない」という空気を作り出します。外交宣伝戦では、即座に相手を屈服させることよりも、相手の主張を鈍らせ、第三国の判断を曖昧にし、時間をかけて立場を浸透させることが重視されます。

 この種の宣伝戦では、法やルールそのものが重要な舞台になります。国際法や国連憲章の文言を引用しながら、自国の行動を「合法」「防衛的」「不可避」と位置づけ、相手の行動を「挑発」「違法」「不安定化要因」と表現します。こうした言葉遣いは、公式文書や国際会議の記録として残り、繰り返されることで、次第に「既成の言説」として定着していきます。外交宣伝戦は、短期的な勝敗ではなく、長期的な言語空間と記憶の支配を狙うものなのです。

<参考記事>

“ポケット突っ込み局長”撮影の舞台裏…中国「宣伝戦」効果と日中関係の今後は?

12/30(火) 日テレNEWS NNN

https://news.yahoo.co.jp/articles/fd35c6b0e5f889e6488a130d5702ad4d982e8ca1

<以上参考記事>

 この一般論を踏まえたうえで、中国が行っている宣伝戦を見ると、非常に体系的かつ粘り強い特徴が浮かび上がります。中国の宣伝戦は、国内向けの統制された言論と、国外向けの外交宣伝が密接に連動している点に大きな特徴があります。国内で形成された公式の歴史観や世界観を、そのまま外交の場に持ち込み、国際社会に対しても同じ物語を語り続けるのです。

 その代表的な事例の一つが、「一つの中国」原則を軸にした台湾問題に関する宣伝戦です。中国政府は、台湾問題を常に「中国の内政問題」と位置づけ、これに異議を唱える行為を「内政干渉」と定義します。この枠組みは、単に中国が主張しているという段階を超え、多くの国が外交文書の中で「一つの中国」を尊重するという表現を使うことで、国際的な言説として半ば固定化されています。中国の狙いは、台湾の地位をめぐる議論を「国際問題」ではなく「国内問題」に押し込め、第三国が関与する心理的・法的ハードルを高めることにあります。

 この宣伝戦の結果として、多くの国は台湾海峡の緊張に懸念を示しつつも、「台湾の地位」そのものについて明確な立場表明を避ける傾向を強めています。中国にとってこれは十分に意味のある成果です。たとえ台湾への軍事的圧力が国際的に批判されても、「一つの中国」という前提が共有されている限り、中国は「自国の枠内での問題だ」という論理的逃げ道を確保し続けることができるからです。

 次に挙げられるのが、南シナ海をめぐる宣伝戦です。中国は歴史的権利や古地図、漁業活動の継続性などを強調し、南シナ海における自国の主張を「長年にわたる既存の事実」として描きます。一方で、他国の行動については「域外勢力による介入」や「軍事化の原因」として位置づけます。国際仲裁裁判所の判断を否定しながらも、法という言葉そのものは多用し、自国が「ルールを無視している」という印象を薄めようとします。

 この宣伝戦の狙いは、完全な同意を得ることではなく、国際世論を分断することにあります。南シナ海問題に対して、多くの国が「懸念はあるが、どちらが完全に正しいとも言えない」という態度を取るようになったこと自体が、中国にとって一定の成果といえます。問題が「明確な侵略」ではなく「複雑な領有権争い」として理解される限り、中国は時間を味方につけて現状を固定化できます。

 さらに、近年顕著なのが、「平和的発展」「ウィンウィン」「多極化」という言葉を多用したグローバルサウス向けの宣伝戦です。中国は自らを「覇権を求めない大国」「西側とは異なる発展モデルの提供者」として描き、植民地主義や帝国主義の記憶を持つ国々の感情に訴えます。ここでは、中国自身の人権問題や国内統治のあり方は意図的に相対化され、「発展の権利」「内政不干渉」が強調されます。

 この結果、国連などの場で中国に批判的な決議が出されにくくなり、中国の立場を支持、あるいは棄権する国が増える傾向が見られます。中国の宣伝戦は、支持を集めるというより、「反対の結束」を崩す方向で機能しているのです。

 総じて言えるのは、中国の外交宣伝戦は、即時的な勝利を求めるものではなく、時間をかけて言葉の前提を塗り替え、議論の土俵を自国仕様に作り替えることを狙っているという点です。その成果は目に見えにくいものの、国際社会の発言の慎重さや曖昧さ、問題設定の仕方そのものに反映されています。宣伝戦の本当の結果は、「相手が何を言わなくなったか」「どこまで踏み込めなくなったか」という沈黙の中に表れることが多く、中国はその点を非常によく理解し、外交を通じて粘り強く実践していると言えるでしょう。

 さて、あえて、「宣伝戦」を「一般論」で語った上で、中国に関する宣伝戦を解説してきました。では、上記の記事にある「ポケットに手を突っ込んだままの局長」は、胴だったのでしょうか。長くなったので詳細は書きませんが、その内容で「中国が怒っている」などと過剰に反応して、高市発言を撤回すべきなどということを主張し、国内世論が分断していたことは記憶に新しい所でしょう。まさに、そのような分断そのものが、狙いとすれば、その陰謀は成功したのであろうか。いや「無知な日本人や中国にしっぽを振っている媚中派日本人が、陰謀を成功させてしまった」というべきなのであろうか。ネット言論はもう少ししっかりと物事を見極めてもらいたいものである。