Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

ネット時代におけるリアル店舗の存在意義

2019.03.06 06:35

PDF版はこちら


 旅行会社の店舗数が漸減傾向にある。「店舗ネットワークの最適化」とする経営の基本的な考え方によるものや、「安定的な黒字化の実現が困難」とする判断に則るもの、加えて入居するショッピングモール自体の閉鎖による「外部要因」によるものなど、その理由は様々だ。


 ただ、店舗数減少の根本となる原因に、インターネットでの旅行申し込みが消費者の間で一般化したことが影響しているのは間違いない。ネット時代が訪れるまでは確実に存在していた「情報の非対称性」が崩壊してしまうと、消費者にはなかなか必要とされない存在に陥ってしまうわけだ。とはいえ、旅行会社側も無策ではない。お店のコンセプトや装飾に工夫を施すことで訪問者のワクワク感の醸成を図ったり、VR(仮想現実)コンテンツの体験などを通じた目新しさをアピールしたりするなど、誘客策は各社相応に対応している。


 しかしながら奏功しておらず、男性は世代を問わず、また性別を問わず40代以下の消費者を中心に、旅行会社へ足を運ぶ人は少ない。先月中旬に当法人が行ったインターネットアンケート調査において1,000人の消費者へ尋ねたところ、リアル店舗の「消費者ニーズ」は3割に満たないことがわかった。調査結果を確認すると、そこは旅行商品を購入・契約する場であって、旅行相談をする場という認識が総じて乏しい。ひとたび店へ赴けば、店の前に並んだパンフレットに掲載しているパッケージツアーから旅行会社にとって都合のよい企画を「買わされる」だけで、自らの希望に沿ったプランニングなど不可能だと思われている。そのため、「オーダーメイド」型とも言える自由旅行を申し込めたり、傷害保険や外貨両替、Wi-Fiルーターといった旅行の周辺需要もワンストップで発注できたりすることを伝えられると、ほぼ例外なく驚きをもって迎えられる。さらに、家族や友人と訪ねる機会が無かったが故に、狭いカウンターを挟んで販売員と対峙する光景自体が、さも申し込みを「脅迫」される異様な空間のように見えるのだろう。「携帯ショップ」の空間と類似しているようで、扱う商品がモノとコト、消費する場がハレとケと、類似性どころかあらゆる観点で正反対だ。


 調査から、気軽に相談できる店づくりへの抜本的な転換こそが、「消費者ニーズ」への対応策だとわかった。とはいえ、「顧客に寄り添える関係」に依存した運営は、今の旅行会社の経営では「数字上」不可能だ。店舗で扱う商品をこれまで以上に会社間で共有化したり、ブランドを統合したりするなどして、業界全体としてマーケットに正対する協調の考え方が必要に思われる。業界内各社での「シェアリング」は、金融・物流・小売は当たり前のように行われている。ネット時代に「あえて対面」の機能を本気で残し続けるのなら、個社でのネットワーク維持にこだわらない処方箋をそろそろ出さないといよいよ危うい。




TOPIC:A

国際通りにセブンイレブン、オープンへ。沖縄旅行大手がコンビニ初参入
2019.02.22(金)沖縄タイムスより抜粋

沖縄ツーリスト(OTS)は、県内初出店を目指すセブンイレブン沖縄とフランチャイズ契約を結びコンビニ事業に初参入すると発表した。新店舗は那覇市松尾の国際通りにあるOTS本社1階で、今年7月の回転を目指す。免税品販売や、旅行情報の提供などOTSが培ってきたノウハウを生かし、インバウンドを取り込んだ独自のコンビニ経営を目指す。OTSがコンビニ事業に参入する背景には、沖縄を訪れるインバウンドの多くがコンビニを利用する傾向にあることだ。インバウンド向けの物販で、売り上げ向上を図る。OTSは本社2階のラウンジをコンビニ利用者に開放し、くつろげるスペースを提供。観光情報の提供や、アクティビティーの手配など旅行者の強みを生かしたサービスを展開する。



TOPIC:B

ネット時代にあえて対面。カフェや教室で世代間交流にも
2019.03.05(火)日本経済新聞夕刊より抜粋

囲碁や将棋といったゲームを楽しめる教室や飲食店がにぎわっている。インターネットでも対戦できる時代にあって、リアルの場に出向くメリットは直接相手と向き合うことで仲間意識が生まれ、人の輪が広がること。子供が大人との接し方を学ぶ場になっている例もあり、世代間の交流にも一役買っている。