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「今あるものだけで戦えばいい」神村学園

2026.01.07 06:16

夏のインターハイ王者が、冬の頂点を射程圏内に捉えた 。準決勝進出を決めた神村学園は、10日に国立競技場で福島県代表の尚志と激突する 。悲願の「夏冬2冠」達成とともに、「史上初の選手権男女アベック優勝」という歴史的快挙を目指すタレント集団の快進撃を支えるのは、有村監督がかつての苦悩から導き出した「今あるものだけで戦えばいいんだ」という確固たる信念だ 。


有村監督は2014年の監督就任から3年間、選手権予選決勝で敗れ続ける苦境に立たされていた 。当時は勝つために何が必要かを模索するあまり、チームや選手に対して「アレも足りない、コレも足りない」と不安要素ばかりを数え上げる日々を送っていたという 。しかし、自身が抱く不安が選手に伝わり、彼らを信頼しきれていなかったことに気づいたことが大きな転換点となった 。この哲学は、選手の欠点を修正することよりも、その瞬間にしか伸ばせない「ストロングポイント」を徹底的に磨き上げる指導方針へと昇華された 。完璧な選手を求めるのではなく、粗削りであっても一芸に秀でた個性を肯定する姿勢が、現在のチームの躍動を生んでいる 。


その教えをピッチで体現しているのが、今大会で圧倒的な数字を残しているアタッカー陣だ 。準々決勝の日大藤沢戦では、エースのFW倉中悠駕が1試合4得点という圧巻のパフォーマンスを披露し、3大会ぶりのベスト4入りを果たした 。倉中はこの活躍により得点ランキングで単独首位に躍り出た 。また、2回戦の東海学園戦でハットトリックを達成したFW日高元も重要な鍵を握る 。日高は準々決勝で自身無得点に終わったことに悔し涙を流しながらも、「得点王よりチームの勝利」を優先する姿勢を見せており、次戦での再起を期している 。

チームの強みは、高い攻撃力と安定した守備のバランスにある 。今大会ここまでの4試合で計14得点を挙げ、失点は準々決勝でのわずか1点のみと堅守が際立つ 。中盤では、集団を繋ぐ役割を担うMF岡本桂乙や、前線からのプレスで先制点の起点となったMF福島和毅らが、監督の掲げるスタイルのもとで機能している 。守備面でも、センターバックの今村太樹が尚志のエース封じに向けて「絶対に仕事をさせない」と強い決意を示す 。かつて「足りない」と嘆いた指揮官が、選手たちの個性を「足りすぎる」ほどの武器へと変え、冬の頂点という最後のピースを埋めるために聖地のピッチに立つ 。


取材:HiroshigeSuzuki / SprotsPressJP

text by TLM / SportsPressJP