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アイスランドがジェンダー先進国に変わった日〜『女性の休日』

2026.01.07 06:40


 社会は、時代と共に自然と良くなっていくわけではない。そう簡単には変わらない。新しい社会は、人が動いて理解が浸透して初めて立ち上がるのだろう。 

  大統領にも首相にも女性が選ばれ、ジェンダーギャップ指数では16年連続で世界一。そんな男女平等の優等生アイスランドも、女性は何者にもなれなかった時代があったのです。映画『女性の休日』を観ていると、そっちの方に驚く自分がいました。映画の中にはこんなシーンがありました。「女は船長にはなれない、法律家にはなれない、なぜなら18歳を過ぎれば結婚するだろうから」。アイスランドでも、50年前はそれが普通だったのです。 

 世界中で、女性は稼ぐ夫と結婚し、家庭を守る役割を楽しむものだという男性の作った神話が蔓延り、定着したのは戦後から1950年代にかけてです。美しい女性タレントを使った、「家と綺麗なキッチンと洗濯機があれば幸せ」という家電のコマーシャルによって、女性たちにもその神話は擦り込まれました。便利な家電製品はよく売れて経済活動も活発になり、働く男性は専業主婦を養うに十分な給料を得るようになりました。だから、「女性が働いたとしても給与はお小遣い程度でいいはず」と、人々は皆、そんな風に思うようになっていったのです。もちろん、女性も同じく。 

 神話の通りの幸せな家庭がいくつも生まれたこの時代に、「おかしい」と言い放つのは相当な勇気が必要だったでしょう。今、この2026年になっても言えずにいる国が多い中、1975年にアイスランドの女性の90%が立ち上がりました。そのストーリーを映画化したのが『女性の休日』。公開は2025年、ちょうど50周年を記念する年でした。それは、1975年10月24日金曜日のこと。アイスランドの女性たちはストライキを決行、仕事も家事もしないで街に集まったのです。男性たちは子どもの世話も食事の準備もしなければならなかったこの日を「長い金曜日」と呼んだそうです。そして、女性がいなければ、日常生活が完全にストップすることに気づきました。

 ストライキを「休日」と呼んだことには訳があります。やはり、当初はストライキに同意できなかった女性がいたからでした。休日ならいいんじゃない?というのは妥協案でした。感服するのは、アイスランドもただ一度では変わりきれないからと、その後も何度も、そして昨年も、女性のストライキを継続させていることです。「女性がいなければ、日常生活が完全にストップすること」を、人はすぐに忘れてしまいます。だから、声をあげ続ける側の勇気と行動力が大切なのです。

 ただ、勇気と行動力だけでなく有効な戦略も必要です。映画では50年前のアイスランドだからこその方法が明かされていました。小さい国だからインターネットのない時代にも口伝えでストライキの決行を知らせ、その意味を共有できたというのです。今なら、小さな国でなくても情報を伝える方法はいくらでもあります。映画に勇気をもらった私たちは、この稀有な成功例を参考に、私たちの社会にどう当てはめるか、鍵になる方法を探しながら行動を起こすことができるでしょう。アイスランドに影響を受けて行動を始めたヨーロッパ各国のように。