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統計・データから考える

令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況

2026.01.09 15:01



令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況 まとめ

① 表面的には「賃上げ率9割超」だが、実質的な格差は拡大

見かけの状況

* 令和7年賃金引上げ企業:91.5%(前年より微増)

* 一見すると「賃上げはほぼ全企業で実施」しているように見える

● 実際の課題

「引き上げたかどうか」だけで、引き上げ幅が示されていない物価上昇率を考慮すると

→ 名目賃金は上昇、実質賃金は維持または低下している可能性が高い

賃上げ“実施率”と生活改善は必ずしも一致していない


② 企業規模による格差が明確(構造問題)

データの示唆

* 5,000人以上企業:賃上げ 98.9%

* 100~299人企業:賃上げ 89.7%

* 改定を実施しない・未定の割合

→ 中小企業ほど高い

 問題点

* 中小企業は

* 原材料高

* 価格転嫁の困難

* 人件費原資の不足

* 結果として

「賃上げしたくてもできない」層が固定化

賃上げが「体力のある企業の特権」になりつつある


 ③ 産業間格差が“人手不足業種ほど深刻”

 特に厳しい業種

医療・福祉:賃上げ 84.9%

宿泊・飲食:78.4%

生活関連・娯楽:79.5%

構造的問題

これらは

人手不足が深刻

社会的に不可欠

価格転嫁が困難(公定価格・消費者価格制約)にもかかわらず賃上げ余力が弱い

「社会に必要な仕事ほど賃金が上がりにくい」逆転構造


④ 労働組合の有無による“交渉力格差”

数値差

労働組合あり:賃上げ 95.5%

労働組合なし:90.4%

 問題点

組合のない職場では 賃金決定が経営判断に依存 個人交渉が弱い

特に中小企業 × 組合なし→ 二重の不利

 日本の賃金構造は、「交渉できる人だけが守られる」構造


 ⑤ 賃金改定時期の集中が示す「追随型賃上げ」

 特徴

多くの企業が1~8月に集中して改定

春闘・世論・他社動向を見て決定

問題点

自社の生産性や人材戦略に基づく賃金設計ではなく

「周囲に合わせざるを得ない賃上げ」

賃金が「戦略」ではなく「防衛策」になっている

⑥ 「未定」が減少=不透明さは減ったが、安心ではない

未定:

令和6年 6.4% → 令和7年 3.9%

一見改善だが「未定→小幅賃上げ」へ移行した可能性 決定は進んだが、生活安定につながったとは限らない


総合的な構造課題(要約)

1. 賃上げ率の高さ=生活改善ではない

2. 企業規模・産業・組合有無で格差が固定化

3. 医療・福祉・サービスなど社会基盤産業が弱い

4. 賃金が“交渉力のある人の報酬”になっている

5. 制度・価格・経営構造が賃上げを阻害


▶ ONE的視点での重要論点

この統計は、「頑張っている企業が多い」ことよりも「構造的に上げられない人・職種・組織が明確に可視化された」点に意味があるのかもしれません。

就労支援・キャリア支援においては

個人努力では超えられない“賃金構造の壁”を前提にした支援設計も不可欠といえそうです。